質量保存



逆流した酸が舌にへばる
咽を締めるその刺激に眉を寄せて
また息をしようと口を開いた

生理的な涙は
僕を軽くさせる

便器に流した物と一緒に
吐き出せずいた色々が
少しだけ流れ出た気がした

誰の目にも映らないで溜まり
僕を侵食してゆく重量

気付けないから
許容範囲も分からない
気付かないから
慈善事業も出来ない


力なく蹲って
それでも安堵した

からっぽになった胃が
否応無しに気力を見出すだろう


呼吸と共に水分が蒸発する
毛穴から滲む体液を取り戻す様に
咽がひりつく程渇いた

心理的な涙は
生理的に落ちる

吐き出しても未だこびり付いて
僕を離そうとはしないけれど
もうそこに重さはない

心の目に捕らえられて積もり
僕に傾いてゆく体重

気付けるからって
何か分かるわけではないけれど
気付いたからって
何か出来るわけではないけれど


もう取り込まれることはない

一つになった
僕はやっと一つになった








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