水面下



頸椎が痺れる

貴方の吐いた微量の酸素を
私のヘモグロビンは
いとおしそうに運ぶのだ

大脳の新皮質を
針か何かでぐちゃぐちゃにして

そうしたら私
貴方を好きってことしか
考えないで済むから


もし口を縫われたら
貴方を視線で殺せてしまう

もし目を縫われたら
貴方を気持で殺せてしまう

自由の利かない心では
いつか貴方を押し潰してしまうと
防衛本能にまみれた
白血球までもが呟いた


粘着質な膣液そのもの

理性に比例して
見せ掛けだけのフェロモンが
貴方の為に分泌される

単純な思考回路には
+も−も無く
貴方だけが充満してゆき

肥大した血管には
腫瘍の様に
貴方だけが増殖してゆく


私に効く薬は未だ開発中

それを言い訳に
いつまでも貴方を取り込んでいたい








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