恋の味を教えよう

















「ご、ごめんフィディオっ…!」
「もう…マモル、その台詞何回目?」
「で、でででも恥ずかしいものは恥ずかしいんだって!」


涙目で顔を真っ赤にして上目遣いで訴えてくる恋人を目の前にして我慢できる男って一体何人いるんだろう…






日本人が恥ずかしがり屋だっていうのは知ってたけど…まさかここまでとは…
俺が晴れてマモルと恋人同士になれたのはもう二週間前
今まで付き合った女の子達はキスなんて付き合って数日で乗り越えられた壁なのに…こんなに苦戦してるのは初めてだよ…はぁ、もう毎日が生き地獄です。


「ねぇ…マモル、何がだめ?フレンチキスなんてたった一瞬だよ」
「恥ずかしいものは恥ずかしいんだよっ…逆に俺はどうしてフィディオがそんなに簡単にキス出来るのか不思議だ!」

マモルは一向にキスする気は無い様子だ。
しょうがない…最終手段だ。

「はぁ…じゃあいいよもう。」
「…へ」
「マモルがどうしても出来ないっていうなら仕方ないだろ。…っとそろそろ時間だから俺帰るね?」
「え、あ…ちょ、ちょっと待って…!」

立ち上がろうとする俺の腕をマモルが掴む。
凄い悲しそうな顔をしてる…あぁっごめんねマモル…!でもこれもキスの為に我慢だ我慢

「なーにマモル?」
「な、なにって…っほんとに帰るのか」
「うん。だって…嫌なんだろマモル?無理矢理するのも嫌だし「……い、いいよして」







「え…マモル今なんて?」
「だーかーらっ…キスしていいって言ってるんだよ…!」

勢い良く立ち上がって俺の両腕を掴んで俺と顔を合わせる


「お、れは…こんな状態でフィディオが帰るほうが嫌だっ…!」

今にも泣きそうな顔で見つめて訴えてくるマモル
ったくもうっ君っていう人は…


「かわいすぎ…」
「うわっ」


押して駄目なら引いてみる効果は絶大で…あぁもうマモルがあんまりにも必死に俺を引き止めるものだから溜まらずに抱きしめてしまった
涙目なマモルを見て少し申し訳なく思い聞こえるか聞こえない程度で謝罪の言葉を言う。
でも…マモルがここまで引っ張ったのがいけないんだからね。


キスをするため体を少し離して顔を見つめる

「じゃあマモル…目閉じて?」
「う、うん」

目を閉じきったのを確認してそっとフレンチキスをする

チュッ

可愛いリップ音が部屋に響く


「…ね?一瞬でしょ?…マモル?」
「………ちょっと今顔見る…なっ」

耳まで真っ赤に染めたマモルは恥ずかしさに耐えられず俺の肩に顔を埋める

「ふふっほんとマモルは…かわいいなあ」
「………っ」
「クスクス…これから沢山キスしようね?」

マモルは返事の代わりに俺を抱きしめる力をほんのり強くする

あぁもうこれは先が遠いなー…でも、俺達にはまだまだ時間は沢山あるんだ

ゆっくり時間をかけて色んな恋の味を教えて上げるから…





覚悟してね、マモル?







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