Buonanotte(おやすみ)




スタジアム中に響き渡る終了のホイッスル
日本代表のイナズマジャパンとイタリア代表のオルフェウスとの試合







俺達オルフェウスは2-1で負けた






実力の差は殆ど無かった
とても良い試合だったと思う
悔しい気持ちも勿論ある、でもそれ以上にとても清々しい気分で心が溢れている
あぁ…こんなにわくわくした試合をしたのは久しぶりかもしれないな

…そしてミスターK

彼もやっとサッカーへの愛に気づいてくれて、そしてキドウ達との蟠りが消えたみたいで本当に良かった
残念ながら刑務所行きは免れられないみたいだけど…きっとミスターKならサッカー界に戻ってきてくれるだろう



今日はなんだかいつもより見上げる空が広く見えた


「…エンドウッ」
「…フィディオ!」


俺が手を振って声をかけたらエンドウは笑顔でこっちに駆け寄ってきてくれた

勿論彼に送る言葉は激励の言葉、それと…

「お疲れ様…そしておめでとう!本当に良い試合だったね…!」

「おう!ありがとうフィディオ!ほんと良い試合だったぜ!すっげえわくわくした!流石フィディオ達のチームだな!」

笑顔でお互いに握手を交わす
エンドウの屈託のない笑顔が少し眩しい

「ハハッありがとう!でもまだ俺達は負けた訳じゃない!必ず決勝戦に進んでみせる…!」

「勿論だ…!こっちこそ絶対決勝戦に進んでみせるぜ!」

「フフッ…今からエンドウ達との試合が楽しみだな!…あそうだエンドウちょっとこの後時間あるかな?」

「?」





―――


「うわーっすごいですねーオルフェウス寮って!」
「ほんと海外チームの宿舎は私達のとは全然違うのねー!」

「ハハッほらみんなこっちのホールにイタリア料理沢山用意してるから」

「うぅーイタリア料理楽しみっす…!」

(はぁ…エンドウ、キドウ、フドウ、サクマだけ呼ぶつもりだったんだけどな)


俺はあの後エンドウ達4人を改めてオルフェウス寮に招待した。
前にオルフェウス寮に招待した時はとても談笑なんて出来る状況じゃなかったしそれにあの時のお礼もちゃんとしたものは出来てなかったしね。
だから俺としてはエンドウとキドウとフドウとサクマだけ呼んだつもりだったんだけど……はぁ


「キャプテン!これすっごい美味しいっすよ!」
「円堂さん!こっちのも凄く美味しくて」

「ああそうだな!ほんと有り難うなフィディオ!」

「あ、あぁ…!喜んで貰えて良かったよ!」

あぁ…エンドウの笑顔が眩しくて切ないよ…!
4人ならエンドウと2人っきりになれると思ったけどさすがに15人のマークは厳しいね…隙がない………うぅ…切ないっ「…フィディオ…フィディオッ!」

肩をトントンと叩かれる
どうやらエンドウと二人きりになれない俺を見かねたメンバーのみんなが俺の様子を見にきてくれたようだ「フィディオ…お前大丈夫か?」
「なんだか纏ってるオーラが暗いよ…」


「ハハッ…なんかもう悲しくて乾いた笑いしか出ないな…!」


「ったくしょーがねーなー!エンドウと絶対二人きりにしてやるからちょっと待ってろ!」
「えっ…ちょマルコ一体どういう…!」
そう言いながらマルコはどっかに言ってしまった。
マルコ…いったいどうやって…でもなんだかんだで俺の事を応援してくれるみんなには頭が上がらない



―――

そして多分今日の最大イベント?の部屋決め
イナズマジャパンのメンバーもいるとあってオルフェウス寮の部屋数的に二人に必然的になってしまう
適当に決めても良かったんだけど…まあエンドウがいるからそれも出来ないし、ということでみんな平等にくじ引きで決める

みんなそれぞれの紙を引き開封するのを心待ちにしている
勿論みんなエンドウ狙いだろう…はぁ緊張する


「よしっ!じゃあ開けるぞ!せーのっ!」


バッとみんな一斉にマルコの声に合わせて開封する

「えっと俺は…8番かな」




「お!じゃあ俺フィディオと一緒だな!」


エンドウが満面の笑みで同じ数字が書かれた紙を見せてくる。
まさか本当にエンドウと同じ部屋になれるなんて…!
マルコのほうを見るとにっこりと俺のほうを見て笑う
きっとマルコが何か細工してくれたんだろう…あぁ本当にありがとうマルコ…!
小声でマルコにお礼を言いエンドウの手を取る

「じゃあエンドウ行こっか!」
「おう!」

凄い優越感に浸りながら部屋へ向かう
後ろからの痛い視線なんて気にしない




















寝る支度をし電気を消してお互いベッドに腰掛ける
窓から入る夜風が程よく涼しくて気持ちよい


まだお互い寝る気にはなれなくて月明かりの中色々な話をした。
今まで何があったかとか、誰と出会ったとか…思い出すとほんとに濃密な数週間だった。
エンドウにはほんと感謝している。
エンドウとあそこで出会っていなければきっと俺達はイタリア代表を下ろされていただろう。
ここまでできたのも今日試合できたのも …それは少し大袈裟過ぎるかもしれないけどエンドウのおかげだ

ほんとに彼は凄い…サッカーの実力もそうだけど人を励ます力、そしてどんな人でも惹きつけてしまう魅力
本当にもう、彼は競争率が高いな…でも俺は諦めないよそんな談笑を結構長い時間話していたらしエンドウの方から欠伸が聞こえる
お互いやっぱり試合後とあって疲れはピークだった
これ以上エンドウを起こすのも悪いかな

「エンドウ…そろそろ寝よっか?」
「ふわぁ…悪いフィディオ…もうちょっと話していたいんだけど…」
「ははっ大丈夫だよ。眠そうな君を起こすのも申し訳ないしね」
「ごめんなー…ふわぁ」
「明日の朝も時間あるし大丈夫…あ。そうだエンドウ最後にいいかい?」
「?」
「今から君のことマモルって呼んでもいいかな?」
「あぁ…全然構わないぜ…!…ふぅっ…ごめん俺そろそろ限界っ…じゃあおやすみフィディオ…」
「ふふっありがとう、おやすみマモル」
「スー…スー…」



もうマモルは寝てしまったみたいだ
本当に疲れてたんだな
………ちょっとならいいよな…そっとマモルのベッドに腰掛けてる
可愛い寝顔だな…………マモル……
ハハッ…顔が自然に緩んじゃう自分がいるな


このままマモルの寝顔を見ているのも良いけど…でも俺も明日の練習があるからそろそろ寝ようかなと思いベッドから立ち上がる
「おやすみマモル…好きだよ」


最後に寝ている君に卑怯だけれど愛の言葉とおやすみのキスをする
この想いがいつか起きている君に届きますように…と願いながら眠りについた

















おやすみもおはようも君がいるだけで魔法の言葉になるよ





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