蒼色に染まる









強豪オルフェウスが0-8で負けた






ゴールの存在が遠く感じる

こんなにサッカーは辛いものだっただろうか

自分達の実力が遠く及ばない相手が来ようとは誰が予想できただろうか

オルフェウスメンバー達が一番何が起こったか理解出来ずただただ悔し涙を流すしかできなかった

「うっうぅ…くそっ…!」

「くっそーっ!何なんだあいつら後半からいきなり…!!」

「うぅっ…ひっく…うあぁぁ」

しかし

ただ一人、フィディオは違った

彼はただただ空を見上げていた



「「本当に悲しいときって涙すら出ないって本当なんだな」」



自分達が今まで努力して築き上げてきたものがこうも一瞬で崩れるなんて

今まで自分達が倒してきた相手はこんな心境だったんだろうか…とやけに冷静な考えまで浮かんできてしまった

「「約束したのにな…マモル」」

いま頭に浮かぶのは彼の顔ばかりだ



約束したのに



決勝戦一緒に戦おうなと誓ったのに



「「ごめん…マモルとの約束、守れなかったよ…」」

自嘲気味に笑いその場を立ち去ろうとしたとき





「フィディオッ…!」




今頭に想い浮かべてた相手が目の前にいた




「マモル…!」

「フィディオッ…一体何があったんだ…!?フィディオ達が0-8で負けるなんて…!」

マモルがとても心配そうな顔をして試合のことを訪ねてくる


あぁ…出来ればマモルには今の自分を見られたくなかったなあ


彼の前では得点王としての自分でありたかった



「前半は5分5分だったんだ…でも……後半からいきなり動きが変わって……」

マモルに試合の話しをしていたらさっきまで一寸たりともこみ上げてこなかった熱い何かが目の奥にこみ上げてくるのが分かった


泣いてはだめだ


泣いてはだめだと思うのに止まらない

そんな俺を見てマモルが俺の肩に手を置いて言う

「フィディオ……っ絶対フィディオ達の分まで頑張るから…!」


その瞬間


涙腺がさっきとはまるで嘘のように決壊してポロポロポロポロ涙が出てきた


マモルにだけは見られたくなく肩に置かれた手を引き寄せて抱きしめる



「っ…マモル…ごめんっ…!!約束守れなくて…本当に…っ」



ぽろぽろぽろぽろ


ぽろぽろぽろぽろ




とめどなく溢れてくる熱いものを止める術が分からなかった

涙が止まらない



誰か止めてくれ




その時マモルが俺のことを抱き締め返しながら言った


「フィディオ…悔しいときは泣いて良いんだ…悔しいときはいっぱい泣いて悔しい気持ちを洗い流して…また次に繋げればいいんだぜ」



その言葉を聞いた瞬間俺はマモルをキツく抱き締めて縋るように泣いた






















君がいるからまた明日に進める








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