奇跡の定義相も変わらずフィディオと二人でサッカーの話をしたり仲間がどうとかいう日常的な会話をしていたら突然フィディオが 「奇跡ってなんなんだろうねマモル?」 と聞いてきた。 突然どうしたんだ?と訪ねれば別になんでもないよと言われてしまった。 奇跡、きせき、キセキ… 言われてみれば奇跡とはどこからが奇跡でどこからが奇跡じゃないかなんてとても不確かなものだ その一人一人の価値観で奇跡の基準なんてころころ変わってしまう 考えてたら頭の中がこんがらがってきた…… 「じゃあそういうフィディオは奇跡ってなんなんだと思うんだ?」 逆に聞き返したらフィディオは満面の笑みを浮かべて俺の手を握って言った 「今この瞬間が奇跡だと俺は思うよ」 「?」 頭上にクエスチョンマークを浮かべている俺を見てフィディオがクスクスと笑って答えた 「奇跡の定義なんて人それぞれ違うなんて当たり前だ」 「ある人はFFIで優勝出来たことを奇跡だと言う人もいるだろうし、ある人は今のチームメイトと出会えたことが奇跡だと言う人もいるだろうね」 「確かに俺もそういう奇跡も有りだなって思うよ、でも…」 「でも?」 フィディオは再度笑みを浮かべて俺の手を握って答えた 「俺が今まで生きてきた中で一番に尊敬し、一番に憧れて、また一番恨んだ人……父さんが言ったんだ」 「まだ仲良かった頃ね俺が父さんに母さんとの出会いを聞いたことがあったんだ」 「母さんは凄い綺麗な人でね、それはそれはモテたらしいんだ!」 相づちをうちながらフィディオの話を聞くフィディオは楽しそうに自分の両親について話をしていた フィディオは普段は明るい性格だが自分の話は中々しない ましてや両親の話なんて 好きな人が自分の話をしてくれることほど嬉しいことはないだろう勿論俺自身もとても幸せな気分になった 「……うん…うん…それで?」 フィディオが俺の相づちに楽しそうに答える 「そしたらねある日父さんが言ったんだ」 「「母さんの周りには沢山の母さんに想いを寄せる人がいたんだ。でもその沢山の人の中からたった一人母さんはお父さんを選んでくれたんだよ」」 「「自分が好きな人が自分のことを好きな確率なんて0に等しい、それこそ奇跡だと思わないかいフィディオ?」」 その話を聞いて流石の俺もフィディオが何が言いたいか分かってしまい顔に熱が集中していくのが分かった 「フィ、フィディオ…」 「流石の鈍感なマモルでも俺が何が言いたいか分かったかな?」 ニコニコしているフィディオにとても悔しくなる 「そう、つまり俺とマモルが両思いになれたっていうことが奇跡だと俺は思うんだ」 「君は気づいてないかもしれないけどマモルの周りにはマモルに想いを寄せる人が沢山いるんだよ」 「その沢山の人の中からマモルが俺を選んでくれたこと」 「マモルが俺を好きになってくれたこと、それって奇跡に近い確率だと思わないかい?」 フィディオがあんまりにも満面の笑みで俺の手を愛おしいそうに握りながら言うもんだからうんとしか返せなかった 君が俺のことを好きでいてくれる |