忘れませんよ
みなさんこんにちは。森山由孝です。今日は2月13日。何の日か分かりますか?そうです、今日は
「明日はいよいよバレンタインだねー。」
「……」
「ん?どうした森山。そんなジト目で見られても困るのだが。」
なんでお前はいいところで話を遮るんだよ!腹立つ。
「もういい。お前もうくんな。」
「はあ!?」
「みょうじなんかもう知らないっ!」
そう言って俺は自分の席から立ち上がり教室のドアを開けた。

「森山、どこへ行くんだ?HRを始めるからさっさと席に着かんか。」

もうみんな嫌いだ。

 *

結局誰も祝ってくれなかった。え、何をって?
俺の誕生日。
何なんだチクショー。一人くらい祝ってくれたっていいだろ!もう世界なんか滅んでしまえ。寄り道してやる!こうなったらとことん
「森山―!」
「なんだよ!」
「ええ!?そ、そんな怒んないでよ。」
「怒ってねえよ!」
「怒ってんじゃん…」
毎回毎回俺の話を遮りやがって、今日はついていない。
「はぁ、何に怒ってんのか知らないけど、」
「だから怒ってねえって。」
「これで機嫌直しなよ。」
みょうじはそう言って紙袋を渡してきた。見た目より重くて、何が入っているのか好奇心が膨らんできた。
「んじゃっ、また明日。」
「あ、おいっ。」
走り去るうしろ姿を見送った後、俺は包みを開けた。
中に入っていたのはタオルが2枚とポストカード1枚。ポストカードには『ありきたりだけど貰ってください。誕生日おめでとうございます。』と書かれていた。
「…律儀だな。わざわざこんなことまでして。」

今日はおとなしく家に帰るとするか。


――――――
森山さん誕生日おめでとうございます。


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bkm
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