ほしいんですか?
 女の子っていうのはどうしてこう可愛いのだろう。
あ、冒頭からすまない。俺の名前は森山由孝。女子からは調理実習で作りすぎたからと菓子をもらい、「ありがとう」と微笑むと顔を赤らめて去っていく程のイケメン――というのは嘘である。今のは目の前で繰り広げられている状況であって俺のことではない。あれ、自分で言っててへこむ。
「みょうじくん、私もコレ、作りすぎちゃったからあげる!」
「ありがとう。大事に食べますね。」
「うん!じゃ、じゃあね!」
そういって彼女は去っていく。うらやましい。ちなみにこんなオイシイ状況を作っているのは俺と同じクラスで同じ部活のマネ―ジャーをしているみょうじなまえ。女である。…女である。大事なことだから二回言っておいた。そう。こいつは正真正銘女だ。なのに何で男の俺を差し置いて女の子にモテているんだ。うらやま…けしからん。
余談だが、あくまでも余談だがうちのバスケ部には二つファンクラブがある。一つは当然黄瀬だが、もう一つはみょうじだ。何でお前はレギュラーより人気あんの?答えは簡単、こいつが紳士だからだ。女のくせに紳士ってなんだ。メガネなんてかけやがって、レーザービームでも打つつもりか。どこのテニス漫画だよ。バスケしろよ。そんなことを考えてるとヤツがこちらに気づいたらしく、目が合うとドヤ顔をされた。腹立つ。
「これはこれは、森山くんじゃあないですか。そんな物欲しげな目でみてきて、どうしたんですか?」
腹立つ。
「…別に、てか、俺そんな目で見てないし。」
俺がせめてもの反抗でそう言うとみょうじはクスッと満足気な笑みをこぼし教室へ入っていく。不覚にもかっこいいと思ってしまう俺はどこかで頭を盛大にぶつけてしまったらしい。
 だがしかし、彼女も決して完璧ではない。性格に難がある。しかも男にだけ。今だって、
「みょうじまた女子から貰ったのかよ。くれよ。」
「すまない。私が貰ったのはお菓子であって猿の餌じゃないんだ。お腹がすいたのならば動物園におかえり。」
…ひどすぎる。あいつは男を何だと思ってるんだ。俺はまだあんなことを言われたことはないが、下手に絡むといつか言われてしまいそうだ。そして女子には甘い微笑。どんだけフェミニストかませば気が済むんだ。俺でもびっくりだわ。

あれ?なんか俺のキャラ薄まってね?解せぬ。



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