「ねえ森山、進路決まった?」
全てはこの一言から始まった。
「進路?んー…一応進学のつもりだけど、大学はまだだな。」
「ふーん。でもやっぱバスケ強いところ行くんでしょ?」
「いや、バスケは続けないよ。」
「あ、そうなんだ。へー。」
俺の回答にさして興味のない風に相槌をしてきたみょうじ。だったら最初から聞くなよ。
「……」
「……」
「……」
「…なんで?」
「は?」
「だからなんでバスケ続けないの?ちゃんと会話続けろよバカ。」
「興味なさそうに返事したのはお前だろうが!理由を聞きたかったら己の口で問え!」
「じゃあなんでバスケを続けないのかお聞かせ願いたいのですがよろしいでしょうかー?」
腕を組み大げさに首をかしげながらそう言ったみょうじがいつもの3割増しうざくて、つい大声で叫んでしまった。
「今のチームが最高すぎて別のチームで戦うことが考えられないんだよ!…あ。」
そして言ってしまった。
「へー、ふーん。普段は軟派な森山くんも、バスケが絡むと笠松のような熱い男になるんですねー。」
くっそ…!ニヤついた顔で見てきやがって…。こうなったら俺も反撃に出るぞ!
「まあその最高のチームメイトに、お前も含まれてるけどな。」
「え。」
「3年間、一緒に頑張ってきた仲じゃねえか。当たり前だろ。」
「……っ」
照れてる照れてる。みょうじへの精神攻撃はこういうのに限る。全く、
「可愛いやつめ。」
「え。」
「……あ。」
(今日は本当にやらかす日だな…)