おかしいですか?
最近、森山が変だ。
いや、森山はもともと変なのだが、とにかく変だ。なんというか、常に不機嫌そうな顔をしている。女の子にナンパをするところも近頃はあまり見なくなった。
本当にこいつの身に、一体全体、何が起こったのだろうか。

「ねえ、森山。」
「あ……」
「?」
「っ、いや、なんでもない……なんだ、用があるんだろ。」
「え?…いや、ないけど。」
「はあ?なんだよ、まぁいいけど。」

おかしい。いつもなら2個3個と文句が返ってくるのだが…

「森山。」
「なんだよ!」
「もしかして熱あるんじゃ…」
「っ!?や、やめろっ!」
「わっ。」

森山の額に触れようとした手を、はたかれた。今まで文句を言われたことは多々あったが、叩かれたり蹴られたりなどの接触行為は受けてこなかった私は、少なからず動揺していた。

「つまんない…」
「はあ?」
「森山のアホ!バカ!女たらし!前髪七三分けー!!」
「俺のは横に流してるだけであって決して七三分けじゃねえ!!」
「もう絶交してやるー!」

今思いつくだけの悪口を並べ教室から去ろうとした。のだが、誰かに腕を掴まれてそれはできなくなった。まあ腕を掴んだのは森山で間違いはないだろうが、その行為の意味を私は図れなかった。振り返ると予想通り森山がいて、目が合うと掴まれている腕に少しだけ痛みが走った。森山が力を加えたのだ。

「森山。」
「…なんだよ。」
「す……、腕、痛い。あと視線も。」

多分視線を集めてしまったのは私の声。言い逃げできる自信しかなかったのが最大の誤算だった。まさか腕を掴んでくるなんて。それに、まさかあんなことを言いそうになるなんて…

「あ、あぁ。悪い。」
「うん…」

気まずい雰囲気のまま森山は自分の席へ、私は逃げるように教室から出た。


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bkm
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