どうしてですか?
「森山先輩…ちょっと、いいですか?」

どうやら俺にも春が来たようだ。

「構わないさ、なんなら移動しようか?体育館裏とか。」
「体育館裏?…い、いえ、ここで構いません。すぐ終わるので…」

おかしい…頬を赤らめてそわそわしながらのこの呼び出し。確実に告白だと思ったのだが、ここですぐ済ませられる用事だと?手紙での告白か?それならば納得できる。

「そうか、じゃあ、要件を聞こうか。」
「はい。あの…その…こ、これをっ!」

ビンゴ。やはり手紙だ。可愛らしい封筒が彼女とマッチして愛らしさを倍増させている。まあこんなもの読まなくとも俺の返事は決まーーー・・・

「みょうじ先輩に、渡しておいてくれませんか?」

・・・ーーーる前に俺の春は過ぎ去ってしまった。

「え、みょうじに?……え?」
「いつも応援してますってお手紙なんですが…は、恥ずかしくて…森山先輩は同じクラスですし、みょうじ先輩と仲が良いので…」
「そ、そう…なんだ。へぇ…わかった。渡しとくよ…」
「本当ですか?ありがとうございます!では失礼します!」

そう言って彼女は小走りで去って行った。渡された手紙を見てみると、確かに『みょうじ先輩へ』と可愛らしい文字で書かれていた。あいつマネージャーのくせしてこんな手紙貰えるとか…腹立つ。いいなぁ、俺女の子から手紙なんてもらったことねえよ。

「ほんと、腹立つ。」

腹は立ってるけど、なんでかな…この苛立ちは、みょうじにではなく、あの女の子に向けられている。なんでかは全く分からないが、あの子に腹を立てていることだけはわかった。

「……意味わかんねえ。」

無意識のうちに、手に持っていた手紙を握りつぶした。


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bkm
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