知りたいですか?
「声出てないぞー!しっかり走れー!」
「「はい!!」」

「………」
「…笠松。」
「ああ。………今月は今日からみたいだな、みょうじのブルーウィーク。」

ブルーウィークというのは、月に1回、みょうじがとてつもなく不機嫌な週があるのだ。それがブルーウィーク。ネーミングは俺たちが適当に付けただけだから特に意味はない。
体育館の空気が重い。たった一人のマネージャーの不機嫌が、ここまで部活を殺伐とさせるなんて…さすがみょうじとしか言いようがない。
この3年間ずっとブルーウィークを体験してきたが、みょうじの不機嫌の正体を知っているのは1人しかいない。確証はないがあいつは多分知ってる。そう、それは…

「みょうじ先輩…」
「ああ、中村か。まだ大丈夫だよ、ありがとう。」

そう、我が海常の第二の良心。中村だ。本当に良く出来た後輩である。時期部長は絶対中村だと俺は思っている。
そんな中村だが、みょうじの不機嫌の正体は絶対に教えてくれない。何度聞いても「ダメです。」の一点張り。こちらとしては、不機嫌の正体がわかれば、何かしら対策を練ることも可能だろうというのに…
もう思いきってみょうじに聞いてしまおうか、そうだ、それがいい。部活が終わったら早速みょうじに聞いてみよう。




「みょうじ。」
「…チッ、森山かよ。なに。」
「てめえさっきの舌打ちしっかり聞こえたぞコラ。」
「舌打ち?なに言ってるんですか、舌が滑っただけですよ。」
「舌が滑ったってなんだよ眼鏡カチ割るぞ。」
「被害妄想やめてくれませんか?」
「くぅっ…!人の話なんか聞いちゃいねえ!」

なんでいつもこいつと話すと本題に入る前に一悶着起こるんだ…
あれ、そういえばそうなるのって俺だけじゃね?笠松とか小堀とか、他の連中は普通に話してる。あ、黄瀬は軽くあしらわれてるから例外な。となると、もしかして…

「お前って俺のこと好きなの?」
「は?」
「あ、ごめんなさい何でもないですはい。いやほんと、本題に入りましょうか。はい。」

こ、こえええええ!今ゴミ…いや、塵を見るような目で俺を見てきやがった!つい敬語になってしまったが、本題に入れるのならいいとしよう。いい…としよう…

「なんでみょうじって月1で機嫌悪くなんの?」
「明日の朝練、送れないように。じゃあね。」
「あれ、いつの間にか話が終わってる。なにこれタイムリープ?」
「……私だってね、普通の女の子に戻る時だってあるのよ。」

そう言い残してみょうじは帰って行った。


(結局聞き出せなかった。)


prev next

bkm
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -