『お綺麗ですよ?』と『気づきませんか?』の続き
元ネタ@KininaruTrain
「あー、今日は最悪の日だ…」
「女好きのお前が悪い。お前の行為は女の子にとっては迷惑にしかならないからな。」
「そこまで言うことないだろ!?泣くぞ!」
「泣け。」
「ひどすぎる!」
ただいま電車の中。みょうじに強制連行されました、不本意ながら。俺はただ出会いを求めてだなあ…
「俺だってなあ、誰彼かまわず話しかけてないんだぞ?」
「たとえば?」
「見るからに馬鹿そうな女はパス!」
「死んでください。」
「何でだ!?てか、お前ってそういう女子にも紳士的に接してるよな。人のこと女好きとか言えねえぞ。」
「は?私も嫌いだよ、そういう女子。会話の内容とか喋り方とかがいかにも頭足りてない女の子はあんまり関わりたくないかな、そういう子ってさ、必然的に恥じらいの心がないんだよ。」
「お、おう…」
意外だ。みょうじがそんなことを言うなんて。誰に対しても笑顔を絶やさないから、嫌いな女子なんていないもんだと思っていた。
「あ、じゃあさ、なんでそういう子にも優しく対応するんだ?」
「…不本意だが、生物学的には女の子だし、」
「最低だな。」
「女の子には優しがモットーだし、それに、あ…」
「?」
急に立ち上がったみょうじに首をかしげつつ、視線の先をたどると初老のご婦人が。
「席どうぞ。」
みょうじはいつもの笑顔でご婦人に席を譲っていた。心なしかいつもより声が低いのは気のせいだろうか。だが、ご婦人は不機嫌そうな顔で「まだそんな年じゃないですよっ!」と言い放った。ひ、ひねくれている!
そんなご婦人の言葉に屈することなく、
「ただのレディーファーストですよ、お姉さん。」
と返し、とどめとばかりにウィンクもかました。
ご婦人は赤面しており、周りを見わたすと客全体がわりと赤面だった。
おい、待て。髪が短くて声も低いからみんな気づきにくいだろうが、
コイツは女だ。
(それに、レディーファーストは基本ですから。)