悪夢
「じゃあ俺、なにか飲み物を持ってきますね。」
「おう、悪いな。」
「いえ。」
パタンと扉が閉まってから、ふっ、と一息つく。やはり初めて行く人の家というのは緊張してしまうものだ。それに加え長太郎の部屋は広いし、小綺麗だから余計にそわそわする。しばらくあたりを見回していると、長太郎の机の引き出しの隙間から、何かがはみ出ているのが見えた。近くによって見てみると、それは茶色くて長い髪。
確か長太郎の髪は銀髪だったはず。不思議に思って机の引き出しを開けてみると、なんとそこにはかつて俺が監督の前で切った髪の束が。それだけでも動揺してしまうのに、さらにその髪はべたついていて、鼻をくすぐる雄の香り。
そこまで考えて俺は一つの答えに辿り着く。その時…
「宍戸さん…?」
「!?」
「うわあああああああああ!!!!!……はぁ…はぁ……………」
………………………。
夢だった。