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「あー、面倒になってきちゃったなー…」


4月の上旬。この時期は入学式という面倒な行事が存在する。卒業式と違って何かを貰う訳でもないのに何故そんな堅苦しい思いをしなくちゃいけないんだ、なんて愚痴を従兄弟に言ったらそこまで考えてるのはお前だけだ≠ニ一掃されてしまった。



「サボったらバレるだろうし、かといって真面目に出る気はないし…」
「ねぇ、何1人でぶつぶつ喋ってんの?」
「…誰」
「人に名を尋ねる時は自分が先だろ?まぁ、別にいいけど。俺は瀬田憂」
「私は名字名前。で、瀬田君はこんな所で何してんの?もうすぐで入学式だよ」



正直言って今の状況が果てしなく面倒くさい。これあれでしょ、お前も1年なんだから入学式に出ろとか連れて行かれるパターンでしょ。大抵の子は皆そうだ。



「入学式?そんなモン出てどーすんだよ」
「どーすんだよって…え、1年だよね、瀬田君」
「そうだけど。卒業式じゃあるまいし、ただ座って話し聞いてるだけとかかったるいじゃん」
「うわー…同じ考え持ってる人居たよ」



彼はどうやら他の人とは違うようです。うん、なんかちょっと親近感湧いたかもしれない。



「名字は出んの?」
「今出るか出ないか悩んでた。ここ従兄弟が勤めてるからバレたら説教食らうんだよ」
「災難だな、そりゃ」
「でも同じ考え持ってる人にも会えたし、今回はサボる事にするよ」
「似た者同士って訳だ。じゃ、屋上でも行くかー」



瀬田君は案外いい奴なのかもしれないな。最初の会話には若干いらつくものがあったけど今は気分がいいから水に流そう。






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