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「疲れたー…」
「後先考えないで行動すっからこうなるんだよ」
「反省してますー」



借り物競争で久我山を激しく落ち込ませてしまった為に私は貴重な休憩時間を潰して弁解した。ただの憂さ晴らしのつもりだったのに余計疲れたし、来年は久我山を使うのはやめよう。



「あと5分くらいで例の競技だけど、大丈夫か?」
「大丈夫。疲れたのは精神的にであって肉体的にじゃないから」
「じゃ、さっさと行って終わらせよーぜ」
「憂、なんか余裕だね。そんなに自信あるの?」
「だって俺、翼とだから」
「…あっそ」



翼が聞いたら絶対怒るな。残念ながら私は梓とだから憂みたいな余裕は一切無い。

そう言えばさっき飲み物を買いに行った時チラッと聞いたけど思いの外B4対決は注目されてるらしい。知らない所で知らない名前付けられて、過度な期待されるって気分悪いな。



「名前、第4走者は集合だって」
「梓。わかった、今行く」
「頑張れよ」
「憂もね」
「あと、頼むから転ぶのだけは止めてくれよ」
「なっ、私は転びません!」



私が元陸上部だって知っててそう言ってくる憂はやっぱり意地悪だ。その台詞そっくりそのまま返してやりたいくらいなのに、言ったら頭グリグリの刑が待ってるから言うに言えない。

こうなったらぶっちぎりでゴールしてやる。



「さ、行こ!」
「急に気合い入れてどうしたの?」
「憂を見返すって今決めた」
「そう。じゃあ精々僕に差をつけられないように頑張ってよ」
「うわ、ムカつく言い方」



スタート位置には3学年が集まってるから必然的に私は男の人達に囲まれる形になった。隣に梓が居てくれるからまだいいけど。

憂はきっと何だかんだ言ってちゃんと先頭走るだろうから心配しなくていいよね。



「始まったね」
「だね〜。あ、うちのクラスがトップだ」
「すぐ内海が追い抜かすよ」
「誰、内海って。てか宇宙科ってそんなに速い訳じゃないんだね」
「それは名前達の勝手なイメージでしょ?運動苦手な奴だって居るんだよ」



内海くんだかって人は梓が言う通りうちのクラスを追い抜いた。なんか、ヤバい展開になってないか?



「これ、僕の勝ちかな」
「……黙らっしゃい」



隣でニヤニヤしてる梓に少し腹が立ったから、軽く横っ腹を抓ってやった。






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