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「絶対負けないから…!」
「僕だって名前に負ける気はないよ」
「…始まる前から睨み合うなよ。つか名前、お前1000mの前に借り物競争だろ」



体育祭当日。たった1日の為に毎朝5時に起きてランニングをしてきたんだ、絶対梓には負けたくない。なんせ私のプライドがかかってるから。



「借り物競争なんて簡単じゃん。紙に書いてあるやつ持ってくればいいだけなんだし」
「ここのはそんな簡単じゃないんだってよ。先輩が言ってた」
「憂って本当に交友関係広いよね。ある意味尊敬する」
「そりゃどーも。ほら、集合かかってるんだから早く行け」



日に日に私の扱いが雑になってきてる気がするんだけど、憂って最初からこんな奴だったっけ。また小言を言われる前に集合場所に向かうと担当の先生に次はお前の番だ≠チて、スタート位置にあっという間に連れて行かれた。



「展開が早い上に何で隣が3年生なの…!」



闘志を燃やしている隣の3年生は私を見て鼻で笑った。この人私になら勝てると思ったね、絶対。



「悪夢見せてやるんだから」



スタートの合図が鳴った瞬間、私は3年生を追い抜かして1番に地面に置いてあるカードを手に取った。変な事書かれてませんようになんて祈ったけど、憂の言ってた通りここの借り物競争は普通じゃなかった。



「(嫌いな人or苦手な人って…何?!)」



こんな大勢の人の前で嫌いな人公開しろってどんな罰ゲームですか。その前に嫌いな人居ないんだけど、こうゆう場合苦手な人連れてかなきゃなんないのか?



「……適任な奴居るじゃん!」



西洋占星術科の所で人一倍大きい声で叫ぶ金髪にピンク色のメッシュを入れた我がクラスのムードメーカー、久我山。

別に嫌いでも苦手な訳でもない。ちょっとした憂さ晴らしのつもり。



「久我山借りるから!」
「おっ、俺?!何、お前何のカード拾ったんだよ!」
「着いてからのお楽しみ!早く走って負けちゃう!」



困惑する久我山をお構いなしにゴールまで引っ張って行く。僅差であの3年生に勝ち1位になって喜んでいるクラスを余所に、私は激しく落ち込む久我山への弁解に必死だった。






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