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雨がちょっとだけ降ってまた空が晴れてきた頃、私達は傘もささずに立っていたせいで若干濡れた。うん、まだ5月だから肌寒い。



「虹、かかるかなー…」
「ったく、何も外出て待ってなくたっていいだろ?寒いんだけど」
「うぬ…髪も濡れちゃってるのだ」
「普通そこで文句言うー?もう、雨止むまで教室で大人しくしてればよかった…」
「名前は気づくの遅いんだよ」



あんまり濡れてないベンチに3人で腰掛ける。まだ虹がかかる雰囲気はなくてただ太陽が雲から顔を出しただけだった。あと5分くらいで昼休み終わっちゃうのに。



「かからないかもね、この調子じゃ」
「やっぱそう都合良く出る訳ないか〜…」
「……あ!」
「どしたのつばさー」
「空!2人共空見るのだ!」
「空?……あ」



眠たくて綴じてた瞼を開けば、太陽の周りを虹が囲んでいた。普通の虹を見るのだって珍しいのにこんな綺麗な円は初めて見たかもしれない。



「虹だ!」
「凄いはっきりしてるね。天使の輪みたい」
「あはは!梓が乙女チックな発言してるー」
「名前煩い」
「名前、憂は?憂は来ないのか?」
「教室に居るよ。雨降りそうだって教えてくれたの憂なんだ」



翼は憂にも見て欲しいらしくてあと数分しかないのに教室まで呼びに行った。興味のある事だと行動力があってビックリするな。



「翼、変わった」
「何が?」
「翼って結構人見知りするタイプなんだ。未だにクラスに馴染めてないし、話し掛けるの僕だけだし」
「私初対面だったけどフレンドリーな感じしたよ?」



初めて会ったのは確かオリキャンの前日だったっけ。その日のうちに名前呼びになって人見知りなんて感じ一切しなかったけどなー。



「偶に居るんだよ、翼が壁を作らない人」
「…翼と同類の人とか?」
「まぁそれもあるし、翼のお祖父さんと雰囲気が似てる人には昔から懐くんだ」
「それもあるって…私そのお祖父さんと雰囲気似てるの?」
「似てるんじゃない?僕にはよくわからないけど翼が懐いてる訳だし」
「ふーん。あ、戻ってきた」
「昼休みもう終わんのに何だよ!」



それから興奮冷めやらぬ翼は教室に戻るのは勿体ない!≠ニ5時間目をサボってまで空を見上げていた。私達を巻き込んで。






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