元日早々バイトだなんて。しかも今日はすごく忙しかった。結局、みんな寝正月なんだろうなって羨ましく思った。

外はすっかりオレンジ色だ。秒針があと3周するのを見送れば17時。もうすぐ哉太くんが来る。

昼間の鬼のような忙しさは過ぎ去り、今はお客さんも2人しかいない。からあげチャンを揚げようと、フライヤーのスイッチを入れようとしたとき、店長に肩をたたかれる。

「みょうじさん、もう上がっていいわよ。」
「え?あ、はい。」

まあ3分くらい変わらないか。そう思い、私は店長に『お疲れ様です』と残して、店を出る準備を始めた。

準備を終えて店を出ると、外で哉太くんが待っていた。

「中で待ってればいいのに。寒いでしょ?」
「うん。でも、何も買わないで出るの気まずいじゃん。」
「たくさんいるよ。そういう人。」

そんなどうでもいい会話をしながら、私達は2人で初めて星を見たあの公園に入った。どこか暖かいところでもよかったんだけど、何故か今は外がよかったから。

「あのね、今日呼んだのはね、聞きたいことがあったからなの。」
「うん。」
「……え…と………ね。」

なかなか言い出せない。だって、違ったら恥ずかしいし、凄く辛い想いをすることになりそうだから。

「聞きづらいこと?」
「……うん。」
「なんで?」
「この事を聞いたら哉太くんと気まずくなるかもしれない…から。」

隣のブランコに座る哉太くんを見上げると、フッと小さく笑った。

「…大丈夫だよ。俺は絶対避けたりしないから。誰かさんと違って。」
「……ばーか。」

くしゃって目を細める笑顔にキュンとした。『絶対避けたりしない』その言葉に安心した私は、ゆっくりと慎重に口を開く。

「あの、ね。24日の夜。私が寝たあと………何か言った?」
「え。」

哉太くんの顔を見るのが怖い。ビックリしてる?照れてる?焦ってる?ポカンとしてる?引いてる?

それからしばらく、遠くから聞こえる神社の太鼓の音だけが響いていた。

ねえ、何か言ってよ。







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