深夜1時、なまえは俺の横のベッドですっかりおやすみだ。風呂も着替えも歯ブラシも借りたうえに、布団まで。つか俺、この部屋で寝てていいのか?
「ハァ…。」
寝れるわけないだろ、こんな状況で。溜め息混じりに起きあがった俺は、暗闇にもすっかりなれた目でこっそりなまえの寝顔を盗み見た。
「………ん。」
あどけない寝顔。まつ毛が長いなとか、こんなところにホクロあるんだとか。いままで気づかなかったことに気がつく。気持ち悪いな、俺。
でも動きだした自分の体は止まらなくて。俺はなまえの前髪にそっと触れた。
「す、きだ。」
………………………………え。
なんだ、今の。
なにが起こったかわからない。前髪に触ったのは意図的だ。でも、口走ったことは無意識、だ。
「…………っ。」
顔に熱が集中する。口元を手でおおって、ついさっき自分が口走ったことを思い返す。
「好き、って……。」
そんなのわかってた。気づかないふりしてただけだ。初めての気持ちだけど、これがソレなんだって…本当はとっくの前にわかってた。もう引き返せないところまで来てる。
「バッカみてー。」
気持ちわりぃ。男の癖にダサすぎだろ。しっかりしろよ、ハッキリしろよ、俺。
俺はなまえが。
「好き、だ。」
これ以上考えたら、自分がなにをしだすかわからないから、俺はこっそり用意していたなまえへのクリスマスプレゼントを枕の横に置いて、布団を頭まで被ってギュッと目を閉じた。
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