「哉太ー。クリスマスイブに羊が日本にくるらしいんだけど哉太もどうせ暇でしょ?」

最近の哉太はすごい生き生きしていた。なにがあったかなんて、大体想像がつくからあんまり触れないようにしてあげてたけど。

「す…錫也………。」
「どうしたの?」

でも今日の哉太は違うみたいだ。悩んでるっていうか…すごく焦ってるって感じ。

「俺…イブ予定あるっぽいわ。」
「ふーん、残念。わかったわ。」
「ちょ!聞いてくれよ!!」
「別に予定があるのはいいことでしょ。羊は冬休みが終わるまでこっちにいるらしいし。」
「ちげーよ!そんなんじゃねーよ!いいから聞けよ!」
「…はいはい。なんですか。」

哉太は俺が前の席に座ったことを確認すると、ゆっくり口を開きはじめた。

簡単に説明するとこうだ。冬休みの初日から暇だから、なんとなくでみょうじさんを遊びに誘ったら、クリスマスイブだった。それだけ。

最初の頃は、俺にみょうじさんの話するのをあんなに嫌がってたのに、今ではすっかり相談相手だ。

「やっぱマズいよな!キャンセルした方がいいよな!」
「だってみょうじさんは遊べるって言ったんでしょ?だったらいいじゃん。」
「でも…クリスマスイブって!」
「みょうじさんの他の友達は、もう予定入れちゃってるかもよ?クリスマスって来週だし。哉太がドタキャンしたらみょうじさんはクリスマスに一人ぼっちだよ?」
「そっか……。」
「それに…クリスマスイブに二人なんてチャンスじゃん!」
「は?」
「じゃっ☆」

哉太の奴、みょうじさんが好きだって自覚したのかな。俺がこの間言ったことは理解したみたいだけど…。

二人の距離が近くなっているのは確か。あとは哉太が少し勇気を出すだけなのに。

「あぁ、焦れったい。」







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