『大学受かったよ\(^O^)/』

風呂からあがると、合格通知の写真と一緒にそんなメールが来ていた。

それを見て自分のことのように嬉しくなった俺は、気づいたらまともに服も着ないままみょうじさんに電話をしていた。

「もしもs「おめでとうございます!!!」
「あ…ありがとう。」

そんな会話から始まった電話。最初は新生活の話しとか、俺はどの大学を受けるかとかそんな話し。(俺なんかはみょうじさんと同じ大学なんか行けないな。)

「とにかく、おめでとうございます!」
「ありがとうございます。」
「あ、なんか合格祝いしますよ!」
「悪いですよ、電話くれただけですっごい嬉しいから。」
「いいんです。俺がそうしたいから。」
「ほんと?じゃあ…」

うーんと考え込むみょうじさん。正直財布はピンチだけど、楽しみにしてた漫画は来月買えばいい。

「あ、」
「決めました?」
「……はい。」
「なにがいいですか?」

あの…と少し口ごもったあと、みょうじさんは慎重に、少し恥ずかしそうにこう言った。

「私のこと、名前で読んで欲しい…な。」
「………ん?」
「じょじょじょ冗談!ごめん、キモいよね、彼女でもないのに!」
「なまえ…」
「っ!」
「さ…ん?」

沈黙。

うぎゃああああ!超恥ずかしい!超恥ずかしい超恥ずかしい超恥ずかしい!

いま顔超赤いだろうな、俺。

「あ…の……。」
「……あっ、はい?」
「あと、敬語もやめて欲しい…です。」
「あ…はい、わかりました…。」
「…さっそく敬語。」
「あっ。」

いままでの、敬語とタメ口が混ざる感じは結構好きだった。俺達の距離みたいで。でも、それをやめたいって思えるくらいみょうじさ…彼女に近づけたんだと思うとすごく嬉しかった。

「あと呼び捨てでいいよ。」
「でも年上だし…。」
「関係ないです!」
「…はあ。」
「じゃあ、次会ったときからそうしよう。それならいいですよね?」
「……はい。」

本当は無理だと思ってたけど、断れなかった。だって、それがみょうじさんへの合格祝いになるんだから。

「じゃあ、みょうじさんもそうしてください。」
「ええええ!?無理!無理無理無理!恥ずかしい!」
「俺だけなんてずるいですよ!それに俺だって…。」
「ん?」
「もっとみょうじさんに近づきたい…。」

胸の真ん中が締め付けられる感じがした。なんだかすごく切ない。

「…わかった。私もそうします。」
「じゃあ決まりで…っくしゅ!」
「え、大丈夫!?」

あ、まだ服着てなかった。

「風邪ひいたら大変だから暖かくして寝るんだよ。おやすみ。」
「おやすみ。」

まだ会う約束すらしてないのに、緊張してなかなか眠りにつけなかった。心の中で何回も『なまえ』って呼んでは恥ずかしくて布団に潜った。

でも、次に会えるのをすごく楽しみにしてる自分がいて、それに気づくとやっぱり錫也の顔を思い出した。

明日も学校だ、早く寝よう。そうして俺はなるべく余計なことを考えないようにして目を閉じた。

大学合格おめでとう、なまえ。







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