「なにイライラしてんの?」
「別にしてねーよ。」
「してる。ほら、オカンに話してごらんなさい。」

錫也はドン、と胸を叩いた。

昨日、あの写真を見てからずっとイライラしている。無理矢理みょうじさんと肩を組んでいたあの男にも、あんな写真を送ってきたみょうじさんにも、なんでこんなにイライラしてるのかわからない自分にも。

「自分でオカンとか言うなよ。」
「オカンはなんでもわかるぞ。みょうじさんのことだろ。」
「…………。」
「図星か!」
「っせ。」

ドヤ顔。ほんとコイツには敵わない。つかなんでみょうじさんのことになるとコイツはテンションあがるんだ?絶対面白がってる。ムカつく。

まあ、いつまでもイライラしてる訳にもいかなくて。みょうじさんとの関係を知ってるのは錫也しかいないから、俺は昨日の出来事を錫也に話した。(本当はマジで話したくなかったよ、マジで。)

「……わかってないなぁ。」
「なにがよ?」
「俺が言ったこと。」

『いつまで子供でいるつもり?』『なんで哉太は今日、わざわざみょうじさんに会いに行ったんだろうね。』

「それがわからない限り、いつまでたっても変わらないよ。」

そう言って錫也は月子に話しかけに行った。そして俺に聞こえるようなわざとらしい声で月子にこう言ったんだ。

「なあ月子、今日の晩御飯はすき焼きがいいなあ〜!あ、鯉とか飼ってみたいな〜!」

『すき』と『鯉』を強調して。







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