なんて恥ずかしいんだ。

穴があったら入りたい。ってこういうことなんですね。本当に恥ずかしい。

あれから3日たった今日、七海くんが学校に来た。進路のことで少し学校を出るのが遅くなった私をわざわざ待っててくれて、逃げようとした私を引き止めた。

「なんで逃げるんですか?」

『なんで』って七海くんは何度も言った。私の目を見て。

正直、そんなの七海くんが悪いんじゃんって、失恋をして辛くて仕方がなかった気持ちが怒りに変わった。

「だって七海くんが…。」
「俺が?」
「彼女いるくせに私と2人で会ったりするから、私に嘘ついて彼女と遊んだりするから…。」
「………え。」

自覚なしか。ムカつく。1発殴ってやりたい。いいかな?そんなことを思ったけど。

「いや、俺彼女いないですよ?」
「………………いな…。」
「はい。いないです。」

今度はすっとぼけるのか!その顔面殴ってやりたい、イケメン台無しにしてやりたい。いいかな?そう思って拳を硬く握りしめた。

「え!?だって、この間約束断った次の日女の子と歩いてるの見ましたよ!」
「…ああ、あれ例の幼なじみですよ。弓道部の。あんなの好きになるわけないじゃないですか〜。」

HAHAHAHA!って七海くんは笑った。今まで見た笑顔の中で1番爽やかだった。

「う……そ…。」

全身の力が一気に抜けた。結局私の勘違いだったってことだ。1人で勘違いして1人で泣いて。恥ずかしいしか言えない、恥ずかしい!

「ごめんなさい!本当に!」
「いやいや大丈夫ですよ。」

私は何度も謝った。…………恥ずかしい!

そのあと少しだけ話して七海くんは帰っていった。しばらく自分の恥ずかしさに絶望していたんだけど、少し落ち着いてきたときにふと思った。

『なんで学校に来てまで。』

でも、今度は自惚れだったらもっと恥ずかしいから、私は外したイヤホンを再び耳に入れて、バイト先へと急いだ。







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