全く、人使いの荒い母親だ。二日連続で買い物に行けだなんて。醤油なんて錫也か月子の家に分けてもらえばいいのに。しかも今日は雨。雨で濡れた買い物袋がペタペタと足にぶつかって気持ちが悪い。

「……っ。」

そりゃ舌打ちだってしたくなる。夏の雨は嫌いだ。空気がムシムシとしていて体に纏わりつくし、独特な匂いがある。おまけに買い物袋を持っているせいで傘が邪魔くさい。

「「はあ。」」

ん?今誰かとハモった?誰だろうと周りを見回すと、昨日のコンビニの前で昨日の店員さんと目が合った。今日は私服だ。バイト終わり、か?

「あ、昨日の。」
「こんにち…いや、もうこんばんはの時間かな?」
「ども。これから帰りですか?」
「はい。でも急な雨で傘がなくて。」

『傘、入ります?』

そう口が動きかけたけど、昨日出会ったばかりの男がそんなこと言うのもおかしいか。そう思って俺は言葉を飲み込んだ。

「すぐそこにコンビニありますよ?」
「急な雨だったんで私がバイトの時からもう在庫がないんです。」
「あぁ…」

こうなったら話は別、だろうか。







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