「哉太、開けて。」

みょうじさんに渡された紙袋を持って、学校を出てから真っ直ぐ哉太の部屋に寄った。

「鍵開いてる。」

玄関でバラバラになっている靴を揃えてから部屋に入る。哉太は着替えの途中のようだ。

「哉太、みょうじさんと何かあったの?」
「別になんもないけど。何で?」
「この本渡しといてって言われた。」
「え……。」

目を丸くする哉太。やっぱりこれは直接返す約束をしていたんだろう。

「あと……」
「?」
「しばらく会えそうにないって。」
「なん、で?」
「さぁ……。」

哉太の考えてることなら大体わかる。でもみょうじさんの考えてることなんてわからない。何故そんなことを言い出すのか。

でもひとつだけわかることがあって。

みょうじさんは哉太のことが好きだ。それだけはわかる。

「まあ、それだけ。あとは自分でなんとかしなよ。あ、洗濯物グチャグチャにすんなよ。」

そう言って哉太の部屋を後にする。

扉を閉めた瞬間、哉太の携帯のストラップが揺れる音がした。






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