すぐにわかった、七海くんだって。下を向いているから表情はよくわからないけど。見たくないって思うのに、何故か目が離せなくなった。見たくないものばかりが見える。
あれって絶対、
「彼女じゃん…。」
女の子は七海くんに掴まってたときと同じ場所に掴まっていて、七海くんの後ろに付いていくことしかできなかった私と違って、七海くんの隣を歩いてる。
彼女がいるくせになんで私と二人で会ったりしてたんだろう。具合が悪くなったって嘘をつかれたんだろうか。
わからない。
でも。
二人が、私と七海くんとは違う『特別な関係』であることは確かで。
それを確信した私は、堪えていた涙が溢れてその場から逃げることしか出来なかった。
恋を自覚した途端、失恋だなんて。
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