「なにが楽しくて男とスターロードに行かなきゃいけないんだよ。」
「別に相手なんていないからいいだろ。」
「ちょっと〜、ここに女子いるんですけど〜。」
「え?どこ?」
「ここ!ここ!女子!」

クラスメイトとスターロードを見に行くことになり、俺達は毎日の恒例行事(?)である月子いじりをしながら外を歩いていた。「夜久の性別は夜久だろ!」と言って笑ってる粟田達をテキトーに流して、月子は俺の制服の裾をチョイチョイと引っ張った。

「錫也、今年のスターロードは去年よりもずっと綺麗だよ!準備も頑張ったし。哉太も来たら良かったのに…。」
「そうだな。」
「去年も見てないんでしょ。もったいない!」

スターロードは目の前。月子が言ったように去年より迫力がある。周りで未だに月子いじりをしていた奴らもスターロードの美しさに感嘆の声を洩らす。

「うっわー!」
「すげー!」
「でもカップル多いな…」
「おい!それ言うな!」
「みんなあえて言わなかったんだよ!マジで空気読めねーな。」

俺は一番乗りでスターロードに踏み込んだ。そしてその中で一番に目に止まったもの。

哉太だ。

その隣にいるのは確か…みょうじ、さん。みょうじさんは哉太の制服の袖に遠慮がちに掴まって哉太の隣を歩いていた。

遠くからでもわかるくらい二人は頬を赤くして、笑いあっている。周りのカップル達に溶け込んでいるようだ。

哉太のあんな顔、見たことない。

それと同時にゾロゾロと例の五人組と月子が入ってくる声が聞こえた。このままじゃさすがに哉太がかわいそうか。

「みんな、いま陽日先生から電話が来たんだけど…教室の片付け始めるから早く戻ってこいだって。」
「はぁ〜!?」
「別にサボってもいいよ〜。」
「そうだそうだ!」
「スターロード見たい!」
「橘、お前さっき男とスターロードなんか見たくないって言ってただろ。」
「私もまだここに居たい〜。」

めんどくさい。まあ、こうなるのはわかっていたんだけど。

「今から五分以内来ない奴らは、一週間一人で掃除だって。」
「ええええ!?」
「直獅のヤロー!」
「急いで戻るぞ!」
「やだやだやだやだやだ!」
「駄々っ子か!」
「はいはい、戻りますよ。」
「オカン………。」

アイツ、俺に隠れてコソコソと。誰もからかったりしないのに。そんなことを思いながら、振り返ってもう一度二人を見る。

きっと哉太は気づいていないんだろうけど、まだまだ時間がかかるんだろうけど。

「頑張れ哉太。」

きっとあの二人。

小さく哉太を応援した俺は、あやすようにみんなの背中を押してスターロードを後にした。

教室に戻ったら、嘘ついたことみんなに怒られるだろうな。

まあ、テヘペロ(・ω<)☆って誤魔化しとけばいっか。







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