夏休みも残すとこあと一週間。一週間後の今頃は、この暑い中教室に閉じ込められて授業を受けていなければならないのだ。そんなことを考えると暑さが一気に増した気がして。夏休みを利用して帰省していた(地元と学校はそんなに遠くはないんだけれど)俺は、おつかいついでにおつりでアイスでも買ってしまおうとフラッと家の近くのコンビニに立ち寄った。

冷房のガンガン効いた店内は少し肌寒いくらい。それでもアイス売り場に直行した俺はキンキンに冷えた箱を漁る。普段なら迷わずガリガリちゃんだが、今日は自分の金じゃないからいつもと違う120円くらいのアイスを手に取りレジに向かう。(パーゲンダッツュは怒られそうだからさすがにやめた)

「お会計125円でございます。」

財布から130円出して店員さんに渡す。そのとき少し触れた手がすごく冷たかったのが気になった。長時間こんなところにいたら冷えるのも当たり前だろう。

「5円のお返しで…っくしゅん!」
「だっ…大丈夫ですか!?」
「わっ!すっすみません!唾とかかけてないですか!?」
「いや、全然大丈夫です…」

嘘。本当はかかった。

「本当にすみません!」
「店内寒いですもんね。」「長時間ここに居るのはさすがにキツイですね。」
「風邪ひかないように気を付けてくださいね。」
「はい、ありがとうございました。」

店員さんに軽く頭を下げて店を後にする。外はやはり灼熱地獄。こんなんだと家に着く前にアイスが溶けてしまうと思い、食べながら帰ろうとコンビニ袋に手をかけると冷たい何かが俺の腕を掴んだ。

あ、この感じ。

「すみません、おつり忘れてました!」

何気ない日常の些細な出来事。






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