やはりスターロードの中はカップルばっかりで。ある程度距離を置いて歩いてる俺達の方が逆に浮いてるみたいだ。みょうじさんはあまり気にしていないようだ。ジンクスを知らないのだろうか。

二人の間に会話らしい会話はない。でも嫌じゃなくて。初めて感じたようなドキドキがなんだか心地いい。

そんなとき。

「………きゃっ、」
「おわっ!」

みょうじさんがつまづいて俺の方に倒れてきて、俺はすかさずみょうじさんの左手を握り、右肩をつかんだ。

「ごめんなさ…わっ!」
「ん?」
「…顔、近いね。」

別に気にしていなかったけど、言われてみれば相合い傘をしたときより近い距離に、顔を真っ赤にして微笑むみょうじさん。これは……すごく…

「か…わ……」
「七海くん?」
「わわわわ!すいません!」

吸い込まれるようだった。目が離せなくなって時間が止まったような気分だった。突き飛ばしてくれた方がよかった。マジで恥ずかしい。

「夢中になりすぎないで、ちゃんと周りも見ないと転びますよ。」
「ごめんなさい、ありがと…。」

変だ、本当に変だ。

「じゃあ…掴まっててもいい、です、か?」
「ど…どう、ぞ。」

あ、笑った。

みょうじさんといると余裕がなくなって、胸の真ん中が痛くなって。そして何より、この笑顔が見たいと思う。

この気持ちに名前をつけるとしたら。

一体なんだろう。







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