気まずい雰囲気をなんとか断ち切って、俺達は文化祭を堪能した。もちろん2年天文科の教室には行かなかったけど。
夕方6時。10月の空はこの時間でもまあまあ暗い。
「そろそろ帰ろうかな。」
「あっ、だったら送ります。」
「ありがとうございます。」
貸す約束をしていた本を渡して、二人並んで歩く。そしてそのときみょうじさんは、遠くを指差して足を止めた。
「綺麗…すごい……。」
スターロード。
星月学園文化祭の醍醐味と言ってもいいだろう。去年は見ることが出来なかったけど、噂通りの迫力と幻想的な空間。
「ねえ、最後に入ってみていい?」
「はい、いいですよ!」
俺も見て見たかったし調度いいか。そう思って一歩踏み出したとき、ふと月子の言葉を思い出した。
『好きな人とスターロードを歩けば、その恋はうまくいくんだって!』
何故か体の真ん中辺りが締め付けかれたような感じがした。何故か。
でも俺とみょうじさんは別に恋人ではないし、お互い特別な感情なんて持っていない。
持っていないから、そんなジンクス関係ないか。
関係ない。
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