天文台に行ったあと駅までみょうじさんを送って、メールアドレスを教えた。
『みょうじなまえです。登録よろしくお願いします!』
絵文字のない飾り気のないメール。みょうじさんらしいな。
『七海哉太です。』
返事はこれだけでいいだろうか。普段なら迷うことなく送信ボタンを押すのだが、何故か今は違う。
『七海哉太です。今日は楽しかったです。ありがとうございました。』
これでいいか。……送信。
「はぁ。」
全身の酸素が抜けるようなため息。なんだか一気に疲れた。なのにみょうじさんからの返事を待ちわびて、新着メールを問い合わせてる自分がいる。いつもはメールなんてめんどくさいと思ってるくせに。
「意味わかんね、キモ。」
どうした、俺。慣れない勉強を頑張りすぎたせいで、二日の休みじゃ足りなかったのだろうか。もう一度深いため息をついた俺は、ベッドに仰向けに転がって携帯を放った。もうやめだ、俺らしくない。
そう思ってるくせに、バイブが鳴ると飛びつくように携帯に手を伸ばし、メールを開く。
『こちらこそ!私なんかの我が儘聞いてくれてありがとうございました。楽しかったです(*^o^*)』
月子の絵文字だらけのメールには何も思わないくせに、みょうじさんの顔文字には何故か照れてしまう。
本当にどうかしてる。やっぱり疲れてる。明日ぐらいは学校サボってもいいか。そんなことを考えながら、俺は再び返信ボタンを押した。
さて、なんて返そうか。
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