七海くんは優しい。天文台に行きたいなんて急な私の我が儘も快く聞いてくれて、星の話しもたくさんしてくれるんだから。

「はー、楽しかった!」
「今日は天気もよかったし、綺麗に見えましたね。」
「はい!我が儘聞いてくれて本当にありがとうございました。」
「いえ、俺も楽しかったです。」

それにわざわざ私を駅まで送ってくれるなんて。七海くんは天文台の近くからすぐバスに乗れたのに。

「…いいのかな、こんな。」
「みょうじさん?」
「…あ。なんでもないです!」
「………?」

私、彼女でもないのに。

「次はいつ地元に戻るんですか?」
「あー、気が向いたらいつでも行ける距離なんですけどね。予定してるのは年末年始ですかね。」
「そっか…。」

知り合ったばかりとは思えないくらい、七海くんと一緒に居るのは心地いい。また会いたい、早く会いたい、なんて私らしくないことを思ってしまって。

「あの、七海くん。もうひとつお願い聞いてもらえませんか?」

図々しいのはわかってる。でも言わずにはいられなくて。勝手に口が動くなんて初めて。

「いいですよ。」

ほら、そうやって。優しい笑顔で私の我が儘を聞いてくれるんだから。私の心を惹き付けるんだから。

駄目。切なくなるから。気づくな私、気づいちゃ駄目。







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