4 料理は大切なスキル



「ごめんね、なまえちゃん」
「気にしてないからいいって。ほら、そっちの荷物貸しなよ」



連休を利用しての合宿に来た私はさっそく桃井さんのお手伝いをしていた。青峰に桃井さんには料理をさせるなって凄い勢いで言われたんだけど、アレ何だったんだろう。

選んだ食材だって別に問題無かったし、料理上手そうな子だと思うんだけど。



「で、宿舎着いたら何すればいいのかな?」
「えっと、午後から8時まで皆練習だからまずはお昼ご飯を作るかな」
「お昼ご飯ねー。桃井さん何作るの?」
「えっ?わ、私?!」
「桃井さんが作るんじゃないの?」



然り気無く聞いたつもりだったんだけど、桃井さん凄い動揺してる。もしかして料理苦手なのかな?だったら青峰が言ってた事も理解出来る。



「桃井さん、料理苦手だったりする?」
「あっ、えっと……うん」
「そっかそっか。気にする事ないよ、私だって苦手だもん」
「なまえちゃんも料理苦手なの?」
「苦手って言うかあんまり作った事ないんだよね。兄さんがいつも作ってるから」



我が家の両親は海外赴任中で今は兄さんと2人暮らしをしている。元々料理好きだった兄さんが毎日三食作ってくれているから、あまり料理をした事がない。



「お兄さん居るんだ」
「うん。大学1年の心優しい兄が」
「ふふ、お兄さんの事大好きなんだね!」
「えっ…?いや、大好きって程じゃ」
「なまえちゃん、顔赤いよ」



ぶっちゃけ言ってこの手の話しは苦手だったりする。家族の事なんて滅多に話さないし、ノリで兄さんの事褒めちゃったけど普段はこんな事人には言わない。



「帰って早くお昼作ろう!」
「走ったら転んじゃうよー」



それから宿舎に戻って私が簡単な炒め物を、桃井さんはスープを作ったんだけど皆がスープを飲んで顔を顰めたのを私は知らない。





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