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「あ、木ノ瀬くん」
「神苑先輩、久しぶりですね」



土曜日の午後。久しぶりに仕事が休みでのんびり散歩でもしようと寮を出た所で木ノ瀬くんに会った。

まともに話したのはあの撮影以来かもしれない。



「今日は仕事ないんですか?」
「うん。この間で一段落したからね。また明日から忙しいけど」
「そういえば佐野さんから聞いたんですけど」
「あー、今その話しは禁止」



木ノ瀬くんの唇に人差し指を当てるとビックリしたのか、一歩後ろに下がった。いつもは勝ち気な癖にこうゆう時の反応は初々しいよね。



「…この間の一件で僕、正式にモデルをやらないかって言われました」
「…うちの事務所に?」
「はい。怜音さんとも相性がいいみたいだし、やってみないかって」
「それはまた。…やるの?」



つい素っ気なくしてしまう。あの事務所は木ノ瀬くんを巻き込むつもりなんだろうか。それに星月学園の生徒とわかっていて誘ってるなら相当質が悪い。



「生半可な気持ちじゃ続かないよ。木ノ瀬くんに限ってそんな事はないだろうけど」
「先輩、僕やるなんて一言も言ってませんよ」
「…でも何かをきっかけに、やりつもりではいるんでしょう?」
「佐野さんの写真集。それを咏羽$謾yと出来るなら、やるつもりです」



…呆れた。この子はどうしていつもこんなに自信に溢れているんだろう。その自信を少し分けて欲しいくらいだ。

失う物とか世間体とか、そうゆうのを気にしてたらいつまでたっても前には進めない。わかってるけどなかなか行動にできないのは考え過ぎてるせいなのかな。



「やるかは、次の仕事が終わってから決めるよ」
「先輩はやりますよ、絶対」
「…またね、木ノ瀬くん」



自信満々にそう言い切った木ノ瀬くんに別れを告げて街に行く為にバス停へと向かう。

ただの散歩のつもりだったけど予定変更だ。








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