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「怜音ちゃん、次の衣装はこれね」
「はーい!」



学校を休んでもう3日。今は怜音として雑誌と来年発売の写真集の撮影に忙しく立ち回っている。学校には一応身内に不幸があった≠チて事にしておいてもらっているから、あと1日くらいは休んでも平気だろう。



「その撮影が終わったら30分休憩ね」
「あ、じゃあ近くのレストランに食べに行きませんか?」
「あそこはオムライスが美味しいらしいね。よし、皆誘って行こうか!」
「そうしましょう」



写真集を撮る為に編成された撮影チームや衣装係の人達は皆いい人ばかりで、こうしてよくどこか美味しい場所を見つけては食べに行く。何かを隠さなきゃいけない訳でもないし星月学園での私を知っている人は居ないから気が楽だ。



「いやー、スマン!遅くなってしもたわ〜」
「佐野さん!」
「お!怜音やないの、元気にしとったか?」
「佐野さんこそ、またお酒飲んで暴れたりしてないでしょーね?」
「久しぶりに会ったのにそらキツイわ…」



今回の撮影には勿論佐野さんも参加している。私の1番の笑顔を引き出せるのは佐野さんしか居ないと事務所からのプッシュもあり、わざわざ大阪から来てもらった。

ただこの人の厄介な所は、酒癖が悪いのと一度スイッチが入ると時間を忘れて被写体を撮り続けてしまう所。私も過去何度これで倒れそうになったかわからない程だ。



「そうや。明日俺の甥っ子が来るから、仲良くしたってや」
「佐野さんの甥っ子?何歳ですか?」
「お前の1つ下やったかな。それがまぁ、可愛いげがないったらありゃしない」
「とか言って、自分が1番可愛がってるんでしょ」



佐野さんにご兄弟が居たとは初耳だ。いつも自分の事は話さないしどっちかと言うと佐野さんは人の話しを聞くのが専門だから、付き合いが長いと言っても知らない事はたくさんある。

明日、甥っ子くんが来たらいろいろと聞いてみようかな?



「ほな、撮影始めよか」
「じゃあ着替えてきますね」



次の日、佐野さんの甥っ子くんがまさかあの人だと私は知る由もなかった。








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