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体育祭をちょうど一週間前に控えた今日、僕は半強制的に保健室へと連れてこられた。もちろん連れてきた本人も何か用事があるんだろうと思っていたのに、生徒とサッカーをする為に颯爽とグラウンドへ去っていった。



「悪いな、わざわざ来てもらって」
「できれば次から放送かけて下さい。毎回陽日先生に連れてこられるのは辛いです」
「俺も放送をかけた方がいいと直獅に言ったんだがな。連れてくるって聞かないんだよ」



あの人は人を拉致するのが趣味なんだろうか。そんな事を思わせる程、陽日先生は強引だった。まぁ、そうでもしないと僕が行かないからなんだろうけど、もう少し優しくてもいいと思うんだ。



「で、早速なんだが」
「あー、体育祭関係のやつですか?」
「よくわかったな。神苑には夜久と救護係をやってもらう事になった」
「救護係、ね。月子はいいとして何で僕もなんですか」



普通の救護係は保健係がやるものなんじゃないのか。月子は保健係だけど僕はどこにも所属してないから、必然的に何の係にもならない筈なんだけど。そんな僕の考えがわかったのか、星月先生かとりあえず茶でも飲めと勧めてきた。



「夜久だけでも十分だったんだけどな、あいつがどうしてもお前と一緒がいいって聞かないんだよ」
「…駄々っ子か。そんな要求聞かなくてもいいのに」
「それに、今年は何でか知らないがどの科も気合いが入ってるからな。怪我人が増えそうなんだ」
「人は多い方がいいって訳ですね」



話しが早くて助かるよと、煎れたてのお茶を渡してきた。星月先生のお茶は正直レアだ。余り自分では煎れないし、ましてや人に出すなんて事は滅多にない。いつも月子の渋いお茶を好んで飲む変わった人だから。



「人員が足りないって言うならやりますよ」
「すまないな。助かるよ」
「琥太郎センセ!」
「直獅、もう少し静かにできないのか?」
「あ、ごめんごめん」



最初の頃より少し服が汚れた陽日先生。またハットトリックとかかまして怪我とかしたんだろうか。それはそれで面白いから笑い話にはなるけど。



「琥太郎センセ、絆創膏くれないか」
「なんだ、また怪我したのか?」
「ボールで躓いちゃってさ」
「陽日先生って運動神経良いのか悪いのかわからないですね」
「うっ…!」



ムキになって返してこないあたりきっと自分でもわからないんだろう。試合を途中で抜けてきたのか、星月先生に消毒と絆創膏を貼ってもらうとまた元気良く保健室を出ていった。

見れば見る程、陽日先生って教師に見えなくなってくなー。








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