君が僕を呼ぶ 不知火
「……………。」
「…………なに。」
「いや…別に。」
「言えよ。」
束の間の休日。彼女と俺の部屋でそれぞれ思い思いのことをして過ごしていた。そんな中で、雑誌を読んでいた時だった。彼女の熱烈な視線に気づいたのは。
「恥ずかしいから言えないです。」
「何それ。言えって。」
「だって一樹会長笑うから…。」
「笑わないから。」
「ホントですか?」
「ああ、笑わないよ。」
少し顔を赤くした彼女が俺の顔に向けていた視線を俺の太ももの間に移した。太ももの間…っていうかナニっていうか……。
「え、そういう気分なの?」
「そういう気分って?」
「まだ昼間だぞ?」
そういうと彼女はさらに顔を赤くして全力で顔を横に振り、俺の二の腕をグーで殴った。
「いっ!」
「ば、バカじゃないの!?」
「じゃあ何だよ。」
「……その間に座りたい、です。」
「脚の間に?」
「はい。」
「なんで急に。」
そう聞くと彼女はさらにさらに顔を赤くして“一樹会長が私に近づいてくれないから…”と小さく呟いた。
「ダメ、ですか?」
そんな潤んだかわいい目で言われたら断る訳がないんだけど、
「そんなんじゃ逆に俺が足りない。」
「え?………んっ。」
彼女に軽くキスを落とす。回数を重ねるごとにだんだん深く。そして彼女をお姫様だっこでベッドに運ぶ。
「もっと近づきたい。」
「まだ昼間ですよ?」
「嫌なの?」
「…言わなくてもわかるくせに。」
眼鏡を外して彼女の鎖骨辺りに吸い付けば、小さな花が咲く。“そういう気分”になったのは俺の方だ。
君が僕を呼ぶ甘美な瞬間
thanks 確かに恋だった
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