一瞬の輝き | ナノ


甘い画策 木ノ瀬/蒼様(捧)





「ねぇ、月子」
「名前、どうしたの?」
「梓って何あげたら喜ぶかな」



12月半ば、もう少しでクリスマスやら年越しやらで忙しくなるこの時期。でも今の私にそんな事を考えてる余裕はなかった。

その前にもっと大事なイベントがあるから。



「まだ決めてなかったの?梓くんへの誕生日プレゼント」
「だって、梓って物欲とかそうゆうのないじゃない?おまけに何が好きなのかも未だにわかんないし…」
「私は名前があげた物なら何でも喜んでくれると思うよ?」



ぶっちゃけそれは私も思う。この間だって翼の邪魔が入ったことによって失敗したクッキーを笑顔で食べてくれたし。

…ほら、尚更何あげたらいいかわかんなくなってきた。



「いっそ1日デート券とかにしたらどうだ?」
「…一樹会長って、そうゆうの好きですよね」
「おい、そんな冷めた目で俺を見るんじゃない」
「颯斗はどう思う?」
「おい!俺を無視するな!」
「僕ですか?…そうですね、僕も月子さんと同意見です」
「颯斗もか〜」



俺の意見も聞けとか騒ぐ一樹会長を放置して、私は1番まともな答えをくれそうな人の所に行く事にした。まだ教室に居てくれてるといいんだけど。



「…あ、錫也!」
「名前?月子と生徒会に行ったんじゃなかったのか?」
「ううん、聞きたい事があったから行っただけ」
「そっか。じゃあその聞きたい事を俺にも聞きたい訳だ」
「流石錫也、その通り」



天文科の教室には錫也と数人の生徒が居たけど、話してるうちに時間はあっという間に過ぎて私と錫也の2人だけになっていた。

錫也に聞いたのは正解で皆とは違う意見をくれたり、その上計画を立てるのにまで付き合ってくれた。



「ありがとね、錫也」
「どういたしまして。ちゃんと上手くやれよ?」
「大丈夫!」
「じゃあ、材料とか詳しい事はメールするから」
「わかった。じゃ、またね」



それから私は計画を実行する為に休日返上で頑張った。錫也からのメールを元に材料を買ったり、メール画面と睨めっこ状態になりながら試行錯誤して作ったり。

梓からデートのお誘いがあったのにそれを断ってまで作ったんだ、きっと美味しく出来た筈。



「名前先輩、梓です」
「あ、鍵開いてるから入って!」



迎えた12月20日。日付が変わった瞬間梓に電話でちゃんとおめでとうを言って、放課後こっそり私の部屋に来て欲しいとお願いをした。

そんな私の手には少し大きめのクラッカー。



「お邪魔しま…うわっ!」
「HAPPY BIRTHDAY!梓!」



ドアを閉めたのを確認した私は後ろに隠し持っていたクラッカーを梓に向けて鳴らす。流石の梓もこれにはビックリしたのか、目を丸くしていた。



「ほらほら、ケーキもちゃんとあるんだから早く入って!」
「…先輩はやっぱりやる事が違いますね」
「何それ、どうゆう意味?」
「僕の予想をいい意味で裏切ってくれるって事ですよ」
「わっ、梓!ここ玄関…んっ」



先に行こうとした私の腕を掴んだ梓は、そのままぐっと抱き寄せて耳元でそう言ったあとにキスをしてきた。

いつも積極的だと思ってたけど、急に抱きしめられたりした事はなかったから驚いた。



「あ、ずさ…!」
「…あんまり可愛い事すると、先輩を先に食べちゃいますよ?」
「なっ、何言ってんの?!」
「名前先輩、顔真っ赤」
「〜っ!もう梓なんか知らない!」



ニヤッとした顔で言ってくる梓にまんまとやられた気がして、作ったケーキを先に食べてやった。

その後も食べさせてくださいとか、抱きしめてもいいですかとか、いちいち恥ずかしくなるような事ばっかり聞いてきて私はずっと赤面状態だった。







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蒼様、20000打おめでとうございます!駄文ですが記念に書かせていただきました(^O^)2日早いけど誕生日ネタです(笑)

これからも頑張って下さい!



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