最大級の好きを贈ろう 陽日
0811
最初は家族四人で始まった直獅さんの誕生日パーティー。でも時間が経つにつれて直獅さんの元教え子、つまり私の同級生がたくさん家に押し掛けてきてそれはもうとんだドンチャン騒ぎになった。
そんな騒ぎも収まり、直獅さんの誕生日も終わりを迎ようとしている23時48分。やっと出来た、夫婦二人だけの時間なのに私達はパーティーの片付けをしていた。
「まったく、あいつら騒ぐだけ騒ぎやがって…。迷惑だっつーの。」 「なに言ってるんですか。すごく嬉しそうだったじゃないですか。」 「んなことねーよ!」 「はいはい。子ども達もたくさん遊んでもらえて楽しそうだったし…いい誕生日になりましたか?」 「…ああ。」
そう言って直獅さんは子ども達にもらった似顔絵のプレゼントを愛しそうに見つめる。これをもらったときは直獅さんが大号泣して宥めるのが大変だった。
「ふふふっ。」 「なーに笑ってんだよ。」 「別にっ、なんでも。」 「…なあ、名前。」 「なんですか?」 「名前からのプレゼントは?」 「…あっ、忘れてました。ちょっと待っててくださいね。」
私は急いで寝室に隠していたプレゼントを取りに行き、直獅さんに手渡す。パートをしてお金を貯めて買った、直獅さんがずっと欲しがってたちょっとお高い腕時計。
「こんな高いの悪いって!」 「いいんです。いつも子ども達のものばっかり買ってるんですから…たまには贅沢してください。」 「今日のパーティーだけで随分な贅沢なのに…ありがとう。」 「大事にしてくださいね。」 「おう!」
そう言ってソファに座りながら手を取り合って笑った。そんな直獅さんの私の左手を握る手にきゅっと力がこめられて、軽く薬指をなぞる。小さく名前を呼ばれたら、吸い寄せられたように唇が重なった。
「………んぅ……っ…。」
離れたときには、ちゅっなんて可愛らしいリップノイズじゃなくてもっと厭らしい音がリビングに響く。さっきまであんなに騒がしかったとは思えない、二人だけの空間。
「な……おし…さ……」
再び直獅さんのキスに酔わされた私はそのままソファに押し倒されて抵抗することが出来ない。もちろん抵抗する気なんてないのだけれど。
「名前、愛してる。」 「私も……です。」
直獅さんに抱かれながらチラッと時計を見るともう0時は過ぎていた。だけどもうひとつ直獅さんにプレゼントがあるの。
それは…最大級の好き、よ。
HAPPY BIRTHDAY!!
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