一瞬の輝き | ナノ


約束したでしょう 陽日







あれは六年前のちょうど今頃。星月学園の生徒であった高校三年生の私と担任の直獅はみんなに内緒で付き合っていた。

「一緒に行きたいな、お祭り。」

そのとき、私が学園内に貼ってあるお祭りの広告を見つけて行きたいと言い出したのだ。

「連れてってやりたいけど…今はさすがにまずいからな…。」
「わかってるよ。行きたいだけで行こうなんて言ってないじゃん…。」
「ごめんな。」
「辛くなるからそういうこと言わないで…。我慢できるから。」

日頃、我慢して溜まってたものが全部溢れて大泣きしちゃって直獅を困らせたっけ。でも直獅は呆れもしないで私とちゃんと向き合ってくれた。

「名前がちゃんと卒業して次の生活に余裕が持てるようになったら一緒に行こう、な?」
「そのときまで好きでいてくれる?」
「当たり前だろ!」
「十年後でも?」
「百年後でもだ!」
「いや、さすがに死んでる。」
「…………。とっ、とにかく!これだけじゃない。名前が今したいこと全部叶えてやる!」

そう言って直獅は私の頭をグシャグシャに撫でた。その直獅の笑顔を見ただけで涙も吹き飛んだし、なんだって我慢できる気がした。

「約束だよ?」
「おう!ほら、小指。」




そしていま。私と直獅はお祭りに行ってきて手を繋いで二人で同じ家へ帰っていく。それは私が今でも直獅が大好きだからで、直獅が今でも私を大好きでいてくれて、それがこうして左手の薬指でカタチになったから。

「楽しかった〜。」
「花火もすごかったな!」
「うん、いい場所で見れたね。」
「あと…やっぱり浴衣似合うな。」
「ははは!直獅顔真っ赤だよ。」
「うるせえ!」

こんな何気ない会話も六年前は出来なかったのに、今では当たり前になって。この感じがすごく愛しい。この幸せな時間が永遠に続けばいいのに。

「来年もまた来ような!」
「うん。来年は三人だね。」
「えっ……。」
「ん?」
「それって………。」
「そういうことっ!」

ううん、私と直獅なら絶対に続く。そんなことを考えながら私は繋いだ手にきゅっと力をこめた。








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