脱出、チェリーボーイ! 七海
「哉太って名前とヤったの?」 「ぶーーー!」
錫也がいきなり満面の笑顔で変なことを聞いてくるから、俺は飲んでいたいちご牛乳を錫也の顔に噴き出してしまった。
「なななな何だよいきなり!」 「気になっただけだよ。」
錫也はさっきと全く変わらない笑顔で顔にかかったいちご牛乳を拭く。コイツ何考えてんだ!?こんなこと言うキャラじゃねーだろ!
「で、どうなの?」 「お前に関係ねーだろ!」 「え〜、知りたいな。」 「ぜってー言わねえ!」 「……シてないんでしょ。」 「………っ。」
図星、だ。
「だ…だって名前のこと傷つけたくねえし…、」 「ふーん。」
いや、そりゃ俺も健全な男子高校生ですから?名前とそういうことしたいなーとは思いますけど?べ、別に急ぐ訳じゃありませんし?名前の大事な身体を汚したくありませんし?先程述べたとおりそれによって名前が傷つくのは嫌ですし…ねえ?それに…その…俺もまだ…したことありませんから……もっとちゃんとした知識をつけてから……って何考えてんだ俺!
「でもお前ら一年以上付き合ってんだろ?」 「あぁ。」 「そろそろ…なあ?」 「いや…多分名前も初めてだろうし……。」 「はぁ。……待ってるよ、名前は。」
ため息ついたと思いきやいきなりなんだ。待ってる?名前が俺に襲われるのを待ってる?
あ、でも…確かに最近名前から抱きついてきたりすること増えてきたかも…。
「哉太には言わないでって言われてたけど。私色気ないのかな、って昨日言ってた。」 「名前が?」 「うん。」
名前がそんなこと考えてたなんて。全く知らなかった。全く気づかなかった。
「ほ、本当に言ってたんだな?」 「本当だってば。」
今日名前と俺の部屋で会う約束してっからそんときでも…いや、昨日の今日だから……。
「ま、頑張れや。」 「…………。」
それから俺しばらくは名前のことを直視できなかった。部屋に入れるのも超緊張して、会話もぎこちなくなって。
でも、そんな俺を心配してくれる名前に欲情してしまって。
なんやかんやありまして俺と名前はその日、大人の階段をのぼりまし…………た。
脱出、チェリーボーイ!
(あ、お前たち昨日ヤったの?) ((ぶーーー!))
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