たったひとりへの恋心 ??
大学の生活にも慣れ始めた7月。あの日、私は彼と同居生活を始めた。“同棲”じゃなくて“同居”なのは、彼が私に気を遣ってくれたから。
星月学園で一緒に過ごして、お互いの事をたくさん知って、それから私はいつの間にか彼の事を好きだと思うようになった。例え、彼が月子の事を想っているとわかっていても。
「なんで、好きになったのかな…」
毎晩、彼の事を想いながら見た星空。その星にいつも話しかける私。そんな場面を見られたくない人に見られた。
「苗字、何1人で喋ってんの?」
笑いながらそう聞いてくる彼。話した内容を聞かれていないか、内心気になったけど平然を装うので精一杯。そして、彼は私の隣に座った。
「好きな人でもできたか?」 「…っ、そんなんじゃないよ」 「嘘。さっき、なんで好きになったのかなって言ってたろ?」 「きっ…聞いてたなら聞かないでよ!」
顔を真っ赤にした私は、彼に見られたくなくてその場を去ろうとした。でも急に手を掴まれたおかげで、私はバランスを崩して彼の方に倒れた。
「ご、ごめん!!」 「…に…なよ」 「え…?」 「俺にしなよ」
何を言ってるのかわからなくて、聞き返して返ってきた言葉は、思いがけない言葉だった。軽い冗談だ、彼が、そんな事言う筈ないって、自分に言い聞かせた。
「俺は、お前が好きだよ」 「う、そ…嘘…」 「この気持ちに嘘偽りはない。お前が好きなんだ」 「…っ……」
真剣な彼を見て、冗談なんかじゃないと理解する。彼が好きなのは、月子じゃなくて私なんだ。
「あの時は大変だったな〜」 「私、錫也の言葉、全然信じなかったもんね」 「“錫也は絶対月子が好きなんだ”って、言い張ってた」 「だって、私はずっとそう思ってたんだもん」
あれから、星月学園での幸せな時間があっという間に過ぎて、私達は同じ大学に進学。“結婚”を視野に、同居しようと錫也に提案されたのが4年前。
そして、明日私達は結婚する。
「いよいよ明日だね」 「そうだな。とうとう名前もお嫁さんか」 「他人事みたいに言わないでよ。私、錫也のお嫁さんになるんだよ?」 「わかってるよ。ただ…毎日幸せすぎて、実感がないんだ」
苦笑しながらそう言う錫也。錫也と付き合い始めて6年ちょっと。たくさん喧嘩したし、たくさん笑った。明日からは“夫婦”として、毎日幸せに過ごしたい。
「錫也」 「ん、なに?」 「これからもよろしくね」 「あぁ。こちらこそよろしく」
君と、永遠の時を−−…
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