一瞬の輝き | ナノ


バレちゃった 宮地








「もう駄目。絶対フラれた。どうしよう、月子〜。」

「だ、大丈夫だよ名前ちゃん。宮地くんならわかってくれるって。」




昨日、龍之介に私がかなりのオタクであり腐女子であることがバレた。

龍之介と知り合って二年ちょい。付き合い初めて半年。今までずっと隠してきたのに、犬飼が部活が始まる前にうっかり口を滑らせてしまったらしい。(私は絶対わざとだと思うけど)




「大丈夫じゃないよ!だって寝る前は毎日電話してくれるのに昨日は無かったもん!嫌になったんだ、私のこと。」

「そ…それは具合が悪かったんだよ。昨日はあまり部活に集中出来てなかったみたいだし…。」

「私のことで動揺してたからだよ。絶対そうだよ。うわあああああ!」

「そ…それに宮地くんだって哉太に漫画借りたりしてるし。」

「私のとは次元が違うもん…。」

「あわわ、あわわ。」




ああ、完全に月子のこと困らせちゃってる。辛いのと申し訳ないのが混ざって少しでも気を緩めたら余裕で泣けそうだ。また月子を困らせちゃうから、絶対泣かないけど。

そんなときだ。




「名前、ちょっといいか?」

「りゅ、」




突っ伏した顔をあげると龍之介が少し気まずそうに私の腕を引っ張って、屋上庭園まで連れていった。




「……。」

「…………………。」




沈黙。

でも私は龍之介にフラれるのを待つだけだから言葉が出ない。別れるまで龍之介の彼女でいられるなら、別にこのまま永遠に沈黙が続いてもいいとさえ思った。




「い、犬飼に聞いた。お前の事。」

「………………うん。」

「なんというか…安心した。」

「………………うん。……え?」

「名前が俺に何か隠してるのは知ってた。だが…よかった、そんなことで。」




ふわって龍之介が私を抱き締める。大好きな龍之介のにおいがして、どんな乙女ゲームよりドキドキする。

龍之介が耳元でよかった、と呟く。大好きな龍之介の声が聞こえて、どんな声優さんの声より心に響く。

何があっても私の一番は龍之介だけだよ、なんて恥ずかしくて言えないから。私はごめんねと囁いて、強く強く龍之介を抱き締め返した。



(犬飼、とりあえず一発殴らせろ!)







バレちゃった






 top 

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -