目が合ったとたんドキリ 青空
いつもと同じ教室、いつもと同じクラスメイト、いつもと同じ退屈な授業。そんな中で私はいつもと同じく颯斗の背中を見つめていた。
いつも颯斗は、ちゃんと授業を聞いているんだけど、時々後ろの席の犬飼くんにちょっかい出されてたり眠そうにしてたりする。そんな颯斗を見ているのが楽しくて仕方ない。
『颯斗ー、颯斗ー。』
心の中で颯斗を呼ぶ。こっちを見てって願いをこめて。
少し振り返った颯斗と少しだけ目が合う瞬間。お互いに小さく笑ってまた颯斗はすぐに前を向くんだけど、それが私にとっては授業中、何よりも幸せな瞬間。
「あ。」
私の心の声が届いたのか、颯斗と目が合った。私は嬉しくなっていつもと同じように笑う。そしたら颯斗もいつもと同じように笑う。
ここまではいつもどおり。でも今日はこのあとが違った。
「ふふふっ。」
颯斗が手を振ってきたのだ。私はいままで以上に笑顔になって手を振り返す。
「ん?」
しばらく手を振りあっていると颯斗の手のひらに何か書いてある事に気がついた。目を細めてよーく見るとそこには“名前さん大好きです”と書いてあった。
『私も大好きだよ。』
と、口パクで返すと颯斗はまた笑って再び前を向いた。私はそのまま颯斗を見ていたんだけど、先生にニヤニヤするなと注意されてクラスメイト全員に冷やかされた。
いつもと同じ教室、いつもと同じクラスメイト、いつもと同じ退屈な授業、いつもより少しだけ甘い彼と、いつもよりかなりご機嫌な私。
目が合ったとたんドキリ
(見つめすぎです。) (だって〜。) (かわいいですね。)
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