一瞬の輝き | ナノ


愚痴で始まり 土萌






「つっこー!錫也ー!ちょっと聞いてよもーー!」

「また始まった。」

「うるさい哉太!」




涙目になりながら駆け寄ってくる名前ちゃん。哉太の言う通り、こういうことは珍しくないことだったりする。




「羊くんがね、昨日メールも電話もくれなかったの!」

「いいだろ、一日くらい。」

「うるさい哉太!」

「…………………うっ。」

「でね、仕方ないから私から電話かけたらフランス語でしゃべってくるし…。あ、でもチョコレートおにぎりって単語は聞こえた!彼女と電話しててチョコレートおにぎりって!」

「フランス語習えば?」

「うるさい哉太!…でね、結局私が一言もしゃべらないうちに寝ちゃったんだよ!ありえなくない!?」

「ありえなくねーよ。」

「うるさい哉太!」




一通り話し終えた名前ちゃん。私と錫也は黙って聞いてその続きを待つ。いつもならそろそろこの辺で…。




「でも今朝ね、羊くんからメールきてたんだ!おはよう。昨日は寝ぼけててごめんね。今日は僕から電話するから名前のかわいい声を聞かせてね。愛してるよ。って!」




そう言って私たちに携帯を見せびらかす名前ちゃん。目がキラキラしてて恋する乙女の顔。かわいいなあ。

錫也もおかんみたいな…ごほん。錫也も優しい笑顔で名前ちゃんを見ている。哉太は少し面白くなさそうだけど。




「まーた結局のろけじゃねーか。」

「うるさい哉太♪」

「………。」

「よしっ、羊くんも頑張ってるから私も頑張らなきゃ!」




ここでちょうど、朝のホームルームの始まりを告げるチャイムが鳴って陽日先生がみんなのいたずらに騒ぎ始める。

スカートをひるがえしながら自分の席へ戻っていく名前ちゃん。哉太の言う通り結局のろけだよね。

でも名前ちゃんが幸せそうでよかったな。






愚痴で始まりのろけで終わる






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