春風が手招く睡魔と 星月
星月学園で迎える二度目の春。去年は毎日新しいことの積み重ねで戸惑うことばかりだったけど、今年の春は学園に咲いている桜をゆっくり見ることが出来た。
「あ、星月先生!」
「苗字か。」
一番大きな木の周りをぐるりと回ると近くのベンチに星月先生の姿。私は駆け足で近づいて星月先生の隣に腰かける。
「先生も桜見に来たの?」
「気分転換にな。」
「私ね、初めてゆっくり見たの。綺麗だなー。今日凄く暖かいし。」
「そうだな。」
優しい風が吹くと桜の花びらがヒラヒラ舞う。春のにおい。チラッと盗み見た長い髪の毛を掻き上げる星月先生の横顔は凄く綺麗で、心がきゅっと締め付けられた気がした。
「んー!なんか眠いや。」
「…膝枕してやろうか?」
「え!?」
「今日だけだぞ、ほら。」
急に膝枕してやると言い出した星月先生は私の頭を無理矢理膝に乗せてフワッと撫でる。されるがままで焦る私と優しい笑顔の星月先生。
「ふぁ〜。」
なんだか凄く心地いい。優しい春のにおいと睡魔とよくわからないドキドキ。私はこの心地よさと星月先生に体を預けて少し眠ることにした。
春風が手招く睡魔と
(初めての恋。)
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