甘い熱だけを残して 天羽
「ちょっと休憩ー。」
「ぬ!だったら俺もー。」
お昼を食べたあと、体育館でクラスメイトとバレーをするのが日課だったりする。クラスメイトって言ってもみんな男。あ、でも翼は彼氏でトクベツだよ。
「翼ー、あっついよー。」
「暖房ついてるからな!」
今朝はいつもより少し寒かったから、もうタンスに仕舞ったカーディガンを引っ張りだして着てきた。体育館に入ったときも寒いかなって思ったんだけど、お昼ご飯の後で体も少し暖まってさらに体を動かして翼の言うように暖房もついているからすぐに暑くなってしまった。
「ねっちゅーしょーになっちゃうかもなー。あついあつい。」
「ぬ?いま何て言ったんだ?」
「ねっ、ちゅー、しょー。」
「ね、ちゅ……ね…」
「つば……んむっ!」
急にニヤニヤしだした翼。そんな翼を冷たい目で見ていると、急に唇で唇を塞がれた。ちょっと歯あたったし。
「ん〜…ぷはっ、」
「ちょちょちょ…なに!?」
「ぬ?名前が…」
「私?」
「ねぇ、ちゅーしようって…」
「………………は?」
「ぬはは!珍しいなー。名前からちゅーしようなんて!」
……ねぇ、ちゅーしよう?ねぇちゅーしようねぇちゅーしようねぇちゅーしようねぇちゅーしようねぇちゅーしようねぇちゅーしよう……あ。
「熱・中・症!」
馬鹿な翼に呆れたとか、翼にキスされてドキドキしたとか、いたずらに笑う翼がかわいいとか、場所が体育館だったとか、クラスメイトに見られてからかわれたとか、色々あったんだけど。とにもかくにも私の体温はさらに上昇した。
甘い熱だけを残して
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