やっぱりキミが好き 不知火
※新婚さん。
「………ん。」
カーテンの隙間から射し込む日差し、鳥の鳴き声、少しだけ寝過ごす、絵にかいたような日曜の朝。時計は起きようと思っていた時間より少し早い時刻を指していたけど、二度寝する気にもなれなくてゆっくり体を起こして伸びをする。
「んん〜。」
「んっ………名前?」
「あ、ごめん起こしちゃった?」
「いや、大丈夫。」
最近はとくに一樹の仕事が忙しくて、こうしてゆっくり朝を迎えるのは久しぶりだ。そして今日は久しぶりのデート。
「もう起きるのか?」
「一樹はまだ寝てていいよ。昨日も遅くまで頑張ってたんでしょ。出かけるまでまだ時間あるし。」
「ダメだ、名前も。」
「でも……」
「出かけるまでまだ時間あるんだろ?大人しく寝てろ、な?」
そう言って一樹は自分の頭の隣にある枕をポンポンと叩いて大きいあくびを一つ。
「ダーメ。私は朝ごはんも作らないといけないし、洗濯も掃除もしなきゃ。」
「そんなの二人でやればいいだろ。」
負けじと反抗してくる一樹。ほっぺを膨らませたりなんかして子供みたいだ。
「それに、今日は久しぶりに一樹とデートだから…可愛くしていきたいの。」
「……それ、ずりぃぞ。」
今度は顔を赤くして目を反らす一樹。どうやら一樹のツボをつかんじゃったみたい、私。
「わかったよ。だったら飯出来たら起こして。掃除と洗濯は手伝う。」
「うん、ありがとう。」
「あと…」
「ん?」
「お前はそのままでも可愛いよ。」
私は余裕なフリして“ありがとう”って寝室を出た。そしてそのまま寝室の前で左の薬指を見つめる。そこには一樹の給料3ヶ月分の私と一樹が夫婦であるという証。
それを見てると、星月学園での出会い、告白されたこと、倦怠期とかつらかったこと、そしてプロポーズされたときのことなんか思い出して改めて幸せを感じた。
と、同時にニヤニヤしてる自分が気持ち悪くなって顔を洗いに洗面所へ向かった。
ああ、幸せ。
やっぱりキミが好き。
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