11:君が見る空

「こ、告白されただぁ?」
「ちょっ、哉太声大きい!」



あれからしばらく攻防戦を繰り返していたけど流石に疲れてきたし、昼休みを無駄に過ごしたくないから止めた。それに今朝貰った手紙の事も話したかったし。



「だ、だだ誰に貰ったんだよ…?」
「哉太、少し落ち着け。で、誰に貰ったんだ?上級生?」
「んー、多分上級生かな。名前聞きそびれちゃった」
「貰った手紙に書いてないの?」



つきちゃんに聞かれて思い出した。ポケットに突っ込んだままで私まだ手紙読んでないじゃん…。



「…まさか、読んでないの?」
「…えへへ」
「早く開けて読みなよ。君はその人の好意を無駄にする気?」
「好意もなにも、結構一方的だったんだけどな…」



羊くんにそう言われ貰った手紙をポケットから出すと、待ってましたと言わんばかりに哉太が私の手から奪い取った。そんなに気になるのかな。



「哉太!お前が先に読んじゃだめだろ」
「うっ…へいへい、わかったよ。ほら」
「別にいいのに」



哉太から返された手紙の封をちょっと雑に切れば、羊くんがあからさまに嫌そうな顔をした。なに、切り方がまずかった?



「葵って、本当に女性?」
「私を見て男性だと思うなら眼科に行く事をオススメするよ?」
「見た目じゃなくて、中身の話し。とても女性とは思えない程、開け方が雑だ」
「羊くん、葵ちゃんをバカにしないでよ!」
「Non!馬鹿になんてしてないよ。ただ率直な意見を言っただけ」



外見じゃなくて中身が男性みたい、か。まぁ、言われてみればそんな感じ自分でもするかもしれない。

…いっそ、男の子になれたらいいのに。



「んー…」
「葵?」
「今日の夜8時に屋上庭園に来てください。だって」
「行くのか?」
「錫也、私でも流石にこんなあからさまな誘いには乗らないよ…」



もっと好きになった経緯とか書かれてるかと思ったけど、予想に反して内容はシンプルだった。屋上庭園に来てください、か。行ったらきっと…。



「葵ちゃん!!」
「は、はい?」



つきちゃんがいつになく真剣な表情で私の名前を呼ぶ。最近つきちゃんの見た事ない行動ばっかり見てるなー。



「絶対…絶対行っちゃダメだよ!」
「あははっ!大丈夫だよ、行かない」
「葵ちゃん!私真剣に、」
「あ、龍から電話だ」



つきちゃんの言葉を遮るように私のスマホが鳴った。かけてきたのは龍で、お前はいつまでサボるつもりだ!って怒られた。そろそろ行かなきゃまずいかな。



「私、そろそろ教室に戻るね」
「宮地からか?」
「うん。早く教室に来い!って怒られちゃった」
「お前朝からサボってたからな」



教室に戻る為、早々に話しを切り上げる。つきちゃんと錫也が何だか神妙な顔つきだったけど私は気にせずその場を去った。






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